なぜ戦争が始まるのか 

映画からその訳を探ってみようby亀仙人2世

映画 「ジョニーは戦場へ行った」反戦映画の代表作です。残酷な内容ですが、見る価値があります。

time 2017/09/08

映画 「ジョニーは戦場へ行った」反戦映画の代表作です。残酷な内容ですが、見る価値があります。

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亀仙人2

映画 「ジョニーは戦場へ行った」

1971年 アメリカ

内容があまりにも残酷なので、公開時に見て以来見ていませんでした。このブログを書くために40年ぶりに見てみましたが、最後の後味の悪さは当時と同じでした。

スタッフ
原作・監督・脚本:ダルトン・トランボ
製作:ブルース・キャンベル
撮影監督:ジュールス・ブレンナー
編集:ミリー・ムーア

キャスト

ジョー・ボーナム -   ティモシー・ボトムズ
カリーン -       キャシー・フィールズ
キリストと呼ばれる男  ドナルド・サザーランド
ジョーの父親      ジェイソン・ロバーズ
ジョーの母親      マーシャ・ハント
マイク・バークマン   チャールズ・マッグロー
看護婦          ダイアン・ヴァーシ
ティラリー軍医     エドワード・フランツ
少年時代のジョー    ケリー・マクレーン

予告編です。出典 YouTube

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原作者兼監督のダルトン・トランボについて

初めにこの映画の原作者兼監督のダルトン・トランボに付いて書いてみます。1917年アメリカが第1次世界大戦に参戦することを決めた年、アメリカ陸軍は志願兵ばかりで10万人ちょっとしか居ませんでした。そこで新しく徴兵制を敷き、大勢の若者を兵士として集めました。その時の募集するために使ったポスターがアイキャッチ画像の写真です。大きく「JOHNNY GET YOUR GUN(ジョニーよ銃を取れ)」と書かれています。またこの言葉は同じ年にはやった軍歌「Over there」

出典 You Tube

の冒頭にも出てきます。

1939年映画の脚本家として活動していたダルトン・トランボは第1次世界大戦で顔と四肢を失ったカナダ兵の話を聞いたんですね。この生きる肉の塊となった兵士を題材にした小説「JOHNNY GOT YOUR GUN(ジョニーは銃を取った)」を発表しました。貴方たちの言うことを聞いて戦場にいったら、顔も失い手足も無くし、酷いめにあった、と書いたんです。

また、アイルランド民謡「ジョニー、あなただとわからなかった」にも、ジョニーが戦場に行って、両手・両足を失って帰ってきたという内容の歌があります。

https://www.youtube.com/watch?v=wOe7XHUMOwE&index=25&list=RDz9yE-TgvhfI

動画が再生できないときは、こちらをクリックしてください。→ 出典 YouTube

この歌も、「ジョニーは戦場へ行った」の元ネタともいわれています。

詳しくは「ロビンソン商会 歌詞対訳works」様のサイトをご覧ください。

 

1939年と言えば1939年の9月に、ドイツがポーランドに侵攻し、1941年には日本が真珠湾を攻撃して第2次世界大戦が始まった頃です。この本を書いたダニエル・トランボは本の印刷を取りやめますが、戦争支持派から脅迫を受けてしまいます。トランボはFBIに訴えたのですが、逆に敵性人物として監視される始末になってしまいました。

第2次世界大戦が終わり再び本は出版されましたが、すぐ朝鮮戦争が始まり再び絶版となってしまいました。

この当時アメリカでは「赤狩り(マッカーシズム)」が吹き荒れアメリカ共産党の党員であったトランボは禁固刑を受け、刑期が終わってもアメリカの映画界から追放され、妻と一緒にメキシコに移住し偽名を使って脚本を書いて暮らしていました。トランボの死後、映画「ローマの休日」がこの時期偽名を使って書いたものであることが分かり、1993年改めてアカデミー原案賞がトランボに贈られています。

彼は1960年になってハリウッドに復帰し、1971年自ら監督してこの映画を撮りました。

あらすじと感想

映画の初めタイトルのバックに当時の報道映画が流され大勢の兵士が出征する様子が流されます。砲弾が飛んでくる甲高い音がし、爆発するシーンでそれは終わります。次に主人公のジョーを取り囲む医者の映像に代わり、胸と腹部だけが助かり他はすべて損傷を受けたことがわかります。軍医のティラリー大佐は見元の分からない彼を実験材料として引き取りました。ティラリー大佐は大脳も重大な損傷を受けたと診断し、ジョーには意識がないと考え、たまに頭を激しく動かすのは筋肉が痙攣を起こしたためであり、その時には看護婦に鎮静剤を打つように命じました。

ジョーは身元不明の負傷兵407号として、陸軍医療隊ティラリー大佐の病院に送られ、他の患者を助けるための生ける実験材料として、生かされていくことになりました。

意識を取り戻したジョーは、出征前夜に恋人カリーンと過ごした事や戦場で砲弾が近くで炸裂したことを思い出して、今、病院で治療を受けていると考えます。それと同時に体中が包帯で巻かれ、顔も覆われて何も見えず何も聞こえないことを知ります。しかし他の人が歩く振動や、体に触れられれている感覚は残っています。

彼はサンクレールの占領軍基地にある第3病院に搬送されます。ここで右肩を触れ熱い痛みを感じました。ジョーは有刺鉄線で眉を切り、縫い合わされた糸を抜くときの痛みを思い出しました。そうか右手の傷が治って抜糸してるんだな、でも何か変だ右腕の感覚がない。肩から先の感覚がないんだ。何てことをするんだ、奴らは右腕を切り落としたのだ。さらに左手、両足が抜糸される時の感覚で、四肢を失ったことが分かりました。

適当な病室がないため彼は病院の備品室に移されます。

何も見えず、何も聞こえない彼は、ベッドの上で幼い日両親と過ごした日々の夢を見続けます。

やがて顔の覆いが取れ、冷たい空気が顔に触れるのを感じた彼は回復したと感じました。ところが看護婦が食道につないだ管を通して栄養を送るのを感じた彼は考えます。なぜ口に食べ物を入れないのだ。ちょっと待て、あごの感覚がない。次に舌で歯の裏を触ろうとして口が無くなっているのに気が付きました。それどころか目も耳もなくなり、顔全体がえぐり取られている分かりました。

 

ある日彼は夢を見ます。ネズミが体を這いまわり、ジョーは追い払おうとしますが何もできず、やがて胸から顔にやってきて額をかじり始めました。実はこの時、看護婦が額の傷の抜糸をしているのでした。夢と現実の区別が付かなくなった彼は本当にネズミが額をかじっているのだと思い、生きたままネズミに体をかじられれる恐怖に、キリストに助けを求めました。キリストは言います。

「叫ぶのだ。そうすれば目が覚め、悪夢は退散する」

「叫びたくても、僕には口がありません」

「では自分に言い聞かせるのだ。まて、これは悪夢だ。目を開ければ夢は消える」

「目を開けたくても、目が無いんです」

「それは難しいな。では眠る前に自分に暗示をかける。私は眠る、でも悪夢は見ないと。練習すればできる。そうすれば自然に眠くなる。」

「眠くならない。眠気を感じる器官が無いんです」

「別の道を考えよう。人には起きていて見る夢と、寝ていて見る夢がある。起きているときに見る夢は、コントロールできる。本当にネズミが居たら追い払うだろう。追い払うことが出来なかったのだから、それは夢だと分かる」

「追い払いたくても、僕には腕がありません。生きる肉の塊です」

「君の現実が悪夢以上のものだったら、誰かが君を救えるふりをするほうが残酷だ」

ジョーはこの状態から逃げる術がないことを知り、このままの生き方しかないことが分かりました。

ある日婦長が部屋に入ってきて窓の鎧戸を開けました。日の光がジョー当たります。額に当たるお日様の温もりで今が昼間だと分かりました。昼・夜・一日、これから数えていけば何日かわかる。ジョーは日を数え始めます。

 

ジョーは夢を見続けます。

前に家族でサーカスに行ったな、確かカリーンもその中にいた。父親は変わり者で家に帰ると見世物小屋の真似をした。家族の皆もそれに加わった。父は言う

「この男は管で呼吸をしている。彼には腕もなく足もない。それでも生きている。まさに20世紀の奇跡だ。彼女に15セント払ってくれ。そうすればこの箱のふたを開けよう。世を捨てて生きるたった一人の男だ」

恋人のカリーンが、観客からお金を集めている。ジョーはそれを見ています。。

 

しばらくして担当の看護婦が変わりました、彼女はジョーの体を拭くとき涙を流し、それがジョーの体に落ちました。

「なんだろう濡れたものが体に落ちてきた。新しい看護婦だ。カリーンと同じ柔らかい手。彼女は僕を怖がっていない。ようこそ新しい看護婦さん」

クリスマスが来ました。彼女は指で胸に字を書き始めます。

「彼女は何かしている。指が上がって下がり、また上がっ下がる。わかつたこれは”M”だ。彼女は僕に話しかけている」

ジョーは分かった印にゆっくり頷きます。

「つぎはなんだ。”E”か。そしてR`R`Y、わかったぞ”メリー”だ」

彼女は続けます。

「C `H` R` I` S` T` M` A` S “クリスマス”そうか今日がいつか分かったぞ。クリスマスなんだ。ついに日付を手に入れた。ありがとう、ありがとう看護婦さん」

でも、ジョーには感謝を伝える術がありません。

 

夢の中に父親が出てきます。

「電信を打ったらどうだ、モールス信号だ」

「でもどうやって」

「 頭を使え、頭を 」

ジョーは頭を振り始めました。短く三回、ゆっくり三回、また短く三回、同じ調子で頭を振り続けていることに気が付いた介護婦は将軍に知らせます。

意識がないと思っていた患者が、同じ動作を繰り返すことに驚いた医師たちは、ジョーのもとに駆け付けました。ここは陸軍の病院ですからジョーがモールス符号を打っていることが分かった軍医が居ました。

「院長、これはモールス符号です、S・O・S ”助けてくれ”と言ってます。」

ジョニーはやっと他の人と話す手段を見つけました。院長は言います。

「何をしてもらいたいか、聞いてみろ。」

彼はジョーの額に手を当ててモールス信号を打ち返します。

「” 君の”  ” 望みは” ”何か “」

「僕の望みだって。新鮮な空気が吸いたい。大勢の人と一緒に暮らしたい。でも僕を外に出すと費用が掛かりすぎる」

ジョーは以前見た夢を思い出しました。

「僕にも金を稼げる方法があった。僕を見世物にして客から金をもらえばいいんだ。」

ジョーはモールス符号で知らせます。

「” 僕は・・” ”外に・・” ”出たい”  ”みんなが” ”見られるように” ”僕が何であるかを” ”僕を”  “出してくれ” ”カーニバルの…見世物に”。」

院長は伝えます。

「”できることは何でもする”  “だが” ”外には出せない”」

「 ”もし・・” ”あなたがたが” ”僕を” ”皆に見せたくないのなら” ”いっそ” ”殺してくれ” ”殺してくれ”   “殺してくれ”・・・・。」

 

皆が出ていた後、一人残った看護婦は呼吸のための管を閉じます。

「看護婦さん。美しい看護婦さん、ありがとう、ありがとう」

ジョーは彼女にお礼を言いました。

ところが戻って来た院長に見つかり、彼女は部屋から追い出されてしまいました。院長は呼吸用の管を開き、鎮静剤を打って去っていきました。

「これで分かった。彼らは、僕を出さないつもりだ。歳を取って自然に死ぬまで」

薄れゆく意識の中で彼は叫び続けました。

S・O・S ”助けてくれ”  S・O・S  ”助けてれ” ・・・・。

 

改めて見直して、ものすごい残酷な内容でした。ホラー映画などでも手足をもぎ取られたり、拷問されるなどの残酷なシーンがありますが、最終的には死ねば終わっちゃうんですよね。でもジョーは自分では、死ねないんです。誰かが殺してくれない限り、生き続けるしかないんです。

夢の中でキリストに会った時、こう言われるんですね。

「誰かが君を救おうとするほど、残酷なことはない」

モースル信号でやっと他の人と話ができ、表に出られると思った瞬間、それが断たれてしまうんです。希望が一瞬のうちに消えちゃうんですね。

これからは閉じられた部屋で暮らさなくてもよいとの望みを絶たれた、ジョーは、それならばせめて殺してくれ、この惨めな状態から助けてくれ、と訴えるんです。

見かねた看護婦が彼を殺そうとするんですが、院長に見つかってそれも止められてしまいした。

これで助けてもらえて、楽になると思ったとたん、それが失われてしまうんです。

苦しみ続けるのではなく、苦しみから助かると思うと、ダメになる。また苦しみから抜け出せると思うと、ダメになる。怖いです。

 

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