なぜ戦争が始まるのか 

映画からその訳を探ってみようby亀仙人2世

映画 「DC911」9.11アメリカ同時多発テロ発生から、アフガニスタン侵攻を決定するまでの、ホワイトハウスの動きを記録した映画です。

time 2018/05/08

映画 「DC911」9.11アメリカ同時多発テロ発生から、アフガニスタン侵攻を決定するまでの、ホワイトハウスの動きを記録した映画です。

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亀仙人2

映画 「DC911」

2004年   アメリカ

2001年9月11日、アメリカ同時多発テロから、アフガニスタン侵攻を決定するまでの9日間を、ブッシュ大統領を中心に政権内部の動きを描いています。

監督: ブライアン・トレンチャード=スミス
製作:ライオネル・チェトウィンド アーマンド・レオ

脚本:ライオネル・チェトウィンド

出演者

ペニー・ジョンソン

ジェラルド ローレンス

プレスマン デビッド

フォンティーノ ティモシー

ボトムズ ジョン・カニンガム

あらすじと解説

2001年9月11日

2001年9月11日朝、ラムズフェルド国防長官は、国防省に官僚8人と議員11人を招いて朝食会を開き、国防費の増額を要求していました。会議の終わりに9.11同時多発テロが起こります。

2機目の飛行機がビルに衝突した後、フロリダで子供の読書の授業を見ていたブッシュ大統領のもとに、アメリカが攻撃されているとの知らせが入りました。もちろん取材中の記者たちも、その知らせを受け取りました。

ブシッュ大統領は子供たちのもとを去る時、記者団たちの質問を打ち切りいったん控室に戻り、すべての民間居直ちに着陸させ、国防長官にデフコン3の警戒態勢をとるよう指示します。チェイニー副大統領にはテロ対策チームの発足と議会で説明するよう求めました。

こう書くとすぐ行動したようですが、実際は「華氏911」の映画の通り、知らせを受けてから行動するまで約7分間の間がありました。

午前9時29分、ブッシュ大統領は小学校でテロ行為には決して屈しないとの記者会見を行います。

この会見はテレビで中継され、いかなるテロ行為にも屈しないとの覚悟を訴え、最後に犠牲者に対しての黙とうを捧げるることで終わりました。

午前9時43分、ペンタゴンに旅客機が激突。その場にいたラムズフェルド国防長官は、職員と一緒に犠牲者の救助に当たりました。

午前9時57分、ブッシュ大統領を乗せエアフォースワンが離陸。官邸ではチェイニー副大統領やライス国家安全保障アドバイザーたちが地下室に避難します。この時未確認機が、ワシントンに接近中との報告が地下のチェイニー副大統領のもとに届きました。チェイニーはもう一度警告を出し、応答か無ければ撃墜するよう命じました。

この飛行機はユナイテッド航空93便で、携帯電話でテロのニュースを知った乗客たちが団結して4人のテロリストに襲い掛かり、飛行機はペンシルベニア州ピッツバーグ郊外シャンクスヴィルに墜落しました。ペンシルベニア州に墜落したユナイテッド航空93便の客室乗務員が、ハイジャッカーの座席番号を知らせてきたことで、一連のテロ行為がアルカイダの仕業であることが分かりました。

ブッシュ大統領は、ルイジアナ州バークスデールの第8航空軍基地に着陸して2回目の声明を出します。その後ネブラスカ州オファット基地で事態の鎮静化を待ち、夕方ワシントンに向かいました。

 

午後8時45分、官邸に戻ったブッシュ大統領はルーズペルトルームで9時に出す声明の準備に入ります。彼は状況を立て直し国民を安心させるために、戦争の文字を入れませんでした。アメリカ国民の不安と怒りを、あおりかねないからです。

https://www.youtube.com/watch?v=XznJvPhan0c

声明発表後の国家安全保障会議で、事件を起こしたテロリストだけではなく、彼らを支援していた組織や国家も攻撃の対象とすることを決めました。

2001年9月12日水曜日

午前6時20分、イギリスのブレア首相はブッシュ大統領との電話会談で、アメリカを支援することを伝えました。

ラムズフェルド国防長官は、軍部に対して早急に攻撃態勢を整えるよう手配しました。

ブッシュ大統領は議員代表団と会い、テロとの戦いに対する議会の支援を得ることに成功しました。

午後4時、国家安全保障会議においてアシュクロフト司法長官はテロを行った犯人を罰するのと同時に、テロを防止する方向に国の方針を変えることを求めます。これは2001年10月26日、米国愛国者法として成立し、テロを予防するために国家の権限を強化する一方、アメリカ市民の自由が犠牲となりました。

またこの会議で、ラムズフェルド国防長官がフセイン大統領も攻撃の対象とするよう主張していたのが、印象に残りました。

それに対してブッシュ大統領は、ビン・ラディンを狙うことを中心に戦うことを決めました。

9月13日木曜日

午前7時25分イギリスのブレア首相との電話でNATOの支持を得られたことが伝えられました。

午前10時、戦時内閣閣僚会議で、C・ブラック CIA対テロリズムセンター所長は彼の率いる特殊部隊が、アフガニスタンの北部同盟と組んでアルカイダと戦う計画を述べました。

カール・ローブ大統領上級顧問は、テロ発生以来国民から遠ざかっている大統領を機会あるごとに国民の目にさらして、一人の人間としての大統領見せて支持を高めようと計画しました。

午後12時05分、ブッシュ大統領はニューヨークの知事と市長にねぎらいの電話しているところを取材させます。その後記者からの「今考えていることについて」の質問に

「わたくしのことは何も考えていない。考えているの犠牲者やその家族、子供のことだ。
私にも感情はある。もちろん職責は全うするが、私たちの悲しみはすぐにはいやされない。
この悲惨な体験の記憶から、国民が救われるまでは。」

と答えました。このような答えをアメリカの人々が大統領に求めているのです。

この間国務省では。パウエル国務長官はパキスタンに協力にさせようと策を練っていました。

午後2時25分、犠牲者を見舞うために夫婦で病院を訪れました。

9月14日金曜日

午前9時15分、テロ後初めての全閣僚がそろって会議が行われました。

午前10時45分、ワシントンD・Cのナショナル大聖堂で行われた追悼式で、遺族たちの悲しみをいやす言葉の最後に

「敵が選んだ日から戦いは始まりましたが、
戦いの終わる日は、わたくしたちが選ぶことになります。」

と結び、戦う決意を表明しました。

午後1時45分、ブッシュ大統領は大統領専用ヘリでニューヨークのグランド・ゼロに行き、有名な拡声器による追悼演説をして集まった人々を熱狂させます。

午後3時30分、アメリカ同時多発テロで行方不明となった人たちのチラシを貼っている、ジェイコブ・ジャビッツ・コンベンションセンターを訪れます。

そこで亡くなった警察官の母親から、息子がつけていた港湾警察のバッチを受け取りました。

午後11時30分、一日の予定を消化してキャンプ・デービット・ローレル・ロッジに着きました。

9月15日土曜日

キャンプ・デービットで関係閣僚の調整、海外協力国との電話会議、具体的な軍事作戦を煮詰めるなどの仕事をこなします。軍事作戦については、フセイン打倒を主張するラムズフェルド国防長官と、イラクはアルカイダと関係ないとしてそれに反対するパウエル国務長官で意見が割れ、結論が出ませんでした。

午後5時、ホワイトハウスに帰ったブッシュ大統領は、次に行われる議会演説の草案作りにかかりました。

9月17日月曜日

午前10時、閣議が開かれます。安全な場所に避難しているチェイニー副大統領はテレビで会議に参加しました。

この会議でブッシュ大統領は、CIA長官の計画を認可し、今日中に署名することで作戦の実施を決定しました。

そのほか作戦の実施に必要な処置を、各閣僚に命じました。

午後12時15分、ペンタゴンで作戦に参加する兵士を激励しました。その時、一人の兵士が
「ビンラディンには死を」
と聞いてきたので、ブッシュ大統領は
「西部劇のポスター通り、生死にかかわらずだ」
と答えます。

午後1時30分、ワシントンのイスラムセンターに行き、イスラム教徒に向かって
「我々の敵はハイジャックをしたテロリストで、イスラム教徒ではない」
と説明します。

この間を見て、国会演説の草稿作りに掛かりっきりになります。

9月18日火曜日

午前8時2分、一週間前最初の飛行機がワールド・トレードセンターに激突した時間に合わせて、ホワイトハウス全員がテロ犠牲者のために黙祷を捧げました。

午前10時15分、国家安全保障会議を開き、開戦に向かって作戦の準備状態を確認します。

この日は、米国議会の共同決議によって、軍事力の使用の許可(AUMF)が可決されました。

この承認により、大統領は、9月11日の攻撃を「計画、承認、コミット、または支援」したと判断した者、またはその人物やグループを収容した者に対して、すべての「必要かつ適切な力」を行使する権限を与えられました。

引用 Wikipedia

この日は深夜まで国会演説の草稿を煮詰めることに、費やされました。

9月20日

午後9時

「世界の国々は、決断を迫られています。
アメリカ側につくか
テロリスト側につくか」

の文句が入った国会議事堂での演説で、映画は締めくくられます。

映画の大部分が、閣僚の会議や、大統領執務室での相談のシーンで占められているため、戦争映画での戦闘場面を期待している人にとっては、退屈な映画だと思います。

しかし、「なぜ戦争が始まるのか」を知りたい私にとっては、アフガニスタン戦争開戦までの経過を教えてくれるこの映画は、大変為になります。ブッシュ政権内部の様子を主に描いているため、政権よりの映画だとの批判がありますが、この映画の性質上仕方のないことでしょう。

ブッシュ政権が起こしたアフガン侵攻に批判的な映画はこちら ↓

映画 「華氏911」なぜイラク戦争が起こったのか? その訳をマイケルムーア監督が暴きます。

イラク戦争開戦の理由を知りたい人には、この映画をお勧めします ↓

映画 「ブッシュ」なぜブッシュ大統領はイラク攻撃にこだわったのか。

 

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