映画 肉弾鬼中隊
１９３４年 アメリカ
第１次世界大戦、中東メソポタミア(今のイラク)でパトロールに出かけたイギリス軍部隊は隊長の中尉を殺されオアシスに逃げ込んだ。ここで夜のうちに馬を盗られてしまい孤立してしまった。部隊は取り囲まれたアラブ人によって、ひとり、またひとりと殺されていくのだった。
監督： ジョン・フォード
原作： フィリップ・マクドナルド
脚本： ダドリー・ニコルズ
撮影： ハロルド・ウェンストロム
音楽： マックス・スタイナー
出演：
軍曹： ヴィクター・マクラグレン
サンダース： ボリス・カーロフ
モレリ： ウォーレス・フォード
ジョージ・ブラウン： レジナルド・デニー
マトロウ・クック： アラン・ヘイル
クインキャノン： Ｊ・Ｍ・ケリガン
ハーバート・ヘイル： ビリー・ビーヴァン
ベル伍長： ブランドン・ハースト
ピアソン： ダグラス・ウォルトン
ジョック・マッカイ： ポール・ハンソン
エイベルソン： サミー・スターン
アラブ人： フランシス・フォード
あらすじと感想
それまで西部劇を撮ってきたジョン・フォード監督が初めて手掛けた戦争映画です。低予算で作られた映画ですが、仲間が一人づつ殺されていく状態における隊員たちの心理を描いた、見ごたえのある作品になっています。
１９１７年メソポタミアの戦地でバトーロールに出た偵察隊は指揮官の中尉が銃で撃たれて死亡したため、自分たちの居る位置を失ってしまった。
新しく指揮を執ることになった軍曹は、急いで中尉を埋葬し、川のある北に向かって進軍を開始しました。やがて前方にオアシスを見つけ、ここで一晩野営して翌朝出発することにした。
翌朝になると歩哨のピアソンは刺殺されており、馬も盗まれていた。またベル伍長は深い傷を負った状態で見つかった。修道士のサンダースが彼を看護することになりました。
若いピアソンを埋葬した軍曹は、墓標の代わりに彼の帯びていたサーベルをさしてやりました。
埋葬の後、ブラウンが女の話をしているのをサンダースが聞きそれを咎めました。しかしそれに反発をしたエイベルソンはサンダースに向かって行きますが、それを止めようとしたブラウンと喧嘩になりました。皆、暑さと恐怖で神経が参っているのでした。
止めに入った軍曹はサンダースを伍長の元にもとに戻して看護させ、皆にこの場所で助けが来るまで待つことにしました。
周りを砂丘に囲まれて見通しが悪いため、ヘイルはヤシの木に登り偵察することになりました。ところが砂丘の陰に敵の姿を見つけ報告したとたん、彼は銃で撃たれ、ヤシの木から落ちて死んでしまいます。
軍曹は次の手としてくじ引きで決死隊を決め、本隊に助けを求めに派遣することにした。選ばれたのマッカイとマトロウ・クックは夜の闇に紛れて川に向かって出発しました。
翌日、見張りをしていたエイベルソンは砂丘で何か見つけたが、めまいを起こしよく見えなかった。彼は確認をしようとして前に進んだところを撃たれてしまう。銃声で気が付いた軍曹は、エイベルソンの先に敵影を見つけ皆で一斉射撃を開始した。その最中モレリはエイベルソンが動いたのを見て、彼を助けに行った。モレリは無事エイベルソンを連れ帰ることができたが、彼は死んでしまった。この銃撃戦の最中、重傷で寝ていたベル伍長も銃を手に立ち上がったが、彼はすぐに倒れそのまま死亡した。
夜、決死隊のマッカイとクックが馬で戻ってきたが、二人は目と鼻をえぐられたれた無残な姿となっていた。怒り狂ったクインキャノンはアラブ人の居る方向に向かって突進したが、彼も殺されてしまう。その後ブラウンもサンダースの聖書に書置きを残し、復讐のため人の内緒でタイを離れていった。
翌日軍曹とモレリが見張りをしていると、一機の複葉機が飛んできました。飛んできたイギリス軍の飛行機は、オアシスにいる彼らを見つけました。パイロットは飛行機を着陸させ、オアシスの方へ歩き出したところを撃たれてしまいました。
後ろに控えていたサンダースは、祈りにこたえて神様が遣わしたパイロットが死んだのは軍曹のせいだと言って、彼に襲い掛かりました。軍曹はサンダースを縛り、荒れたモスクに放置します。
夜になり、軍曹とモレリは飛行機に近づき、搭載されていた機関銃を外し連絡のため飛行機に火をつけました。
飛行機が燃える明かりを見たイギリス軍は、現地に向かいますが、到着するまで５～6時間かかります。
翌朝、縄を解くことができたサンダースは、木で作った大きな十字架を掲げてアラブ人に向かって歩いていました。それを見たモリスはサンダースを助けようとしましたが、二人ともアラブ人によって殺されてしまいました。
二人を埋葬した軍曹は、自分の分の墓穴を掘り軍服を着てアラブ人が襲ってくるのを待ちます。
一人になった軍曹にアラブ人は集団で襲い掛かりますが、軍曹は飛行機から取り外した機関銃で彼らを全滅させました。
救援に駆け付けたイギリス軍に、隊員の居所を聞かれた軍曹は黙って彼らの墓を指さすのでした。
見終わった後一番印象に残った人物は、修道士と呼ばれているサンダースです。キリスト教の熱心な信者である彼は、皆の行いを咎め、却って隊員たちの反感を買い、ついには神様を信じるあまり自ら死に向かって歩いていきます。普通キリスト教の熱心な信者は、神様の助けを借りてうまくいくことが多いですが、彼の場合は神様によって破滅してしまう珍しい存在でした。
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