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亀仙人2「映画」 ユナイテッド93
2006年 アメリカ
2001年9月11日、アメリカ同時多発テロでハイジャックされた4機の飛行機の中で、目標に到達せず墜落したユナイテッド航空93便の離陸から墜落までを描いた、ドキュメンタリー風のドラマです。(アイキャッチの写真は事故を起こしたユナイテッド航空93便 出典ウィキペディア )
スタッフ
監督
ポール・グリーングラス
製作
ポール・グリーングラス 、 ロイド・レヴィン 、 ティム・ビーヴァン 、 エリック・フェルナー
製作総指揮
デボラ・ヘイワード 、 リザ・チェイシン
脚本
ポール・グリーングラス
撮影
バリー・アクロイド
衣装
ディナ・コリン
音楽
ジョン・パウエル
美術
ドミニック・ワトキンス
編集
クレア・ダグラス 、 Christopher Rouse 、 リチャード・ピアソン
キャスト
ジアド・ジャラ
(ハリド・アブダラ)
デボラ・ウェルシュ
(ポリー・アダムス)
シーシー・ライルズ
(オパル・アラディン)
サイード・アルガムディ
(ルイス・アルサマリ)
トッド・ビーマー
(デヴィッド・アラン・ブッシェ)
ウィリアム・ジョセフ・キャッシュマン
(リチャード・ベキンス)
ワンダ・アニタ・グリーン
(スターラ・ベンフォード)
アフメド・アルハズナウィ
(オマー・バーデゥニ)
ジェーン・フォルガー
(スーザン・ブロンマート)
ジョゼフ・デルカ
(レイ・チャールストン)
トーマス・E・バーネットJr.
(クリスチャン・クレメンソン)
その他、ユナイテッド93便のパイロット、民間や軍の管制官などは、本物のパイロットや管制官が出演しています。中には9.11テロが発生した時に、実際に勤務していた人もいました。
ポール・グリーングラス監督は、乗客やハイジャック犯などに無名の役者を立てることによって、この事件が映画の中だけの特別な出来事ではなくて、普通の一般市民の生活のなかで起きた事件であることを示そうとしました。
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あらすじと感想(レタバレあり)
この映画は大きく2つの部分からできています。前半は民間機を使用した想定外のテロに対して、民間と軍の航空管制官が空の管制システムを維持するために、大きな苦難とたたかった様子。
もう一つは、ハイジャックされた飛行機に乗っていた乗客が、このままで助からないと分かり、生きるため、もう一度家族と会うために、ハイジャック犯に立ち向かっていくまでの過程を描いた部分です。
映画の冒頭でハイジャック犯たちが熱心にイスラム教のお祈りをしています。支度を整えた犯人たちは、ユナイテッド航空93便に乗るためニューアーク空港に向かいます。ニューアーク空港には、ハイジャック犯以外の乗客、乗務員も集まりました。彼らにとっては平和な日常業務の始まりです。
ここから映画の主役は、
- ニューアーク空港管制塔
- ボストン航空管制センター
- ニューヨーク航空管制センター
- ハーンドン連邦航空管制センター
- ロームにある軍の北東地域防空指令センター
に移ります。これら管制センターの映像があるとは、予想していませんでした。それだけに思わぬ儲けものでした。結構見ごたえがあります。ここに出てくる人たちは、全員プロの管制官や軍人たちです。
最初の以上はボストン航空管制センターで起こります。アメリカン航空11便(最初にワールド・トレード・センタに衝突した機です)がボストンの呼びかけに応答しなくなりました。
やがてアメリカン航空11便から
「操縦室を制圧した、静かにしろ、空港へ戻る」
との音声が入ります。後で分かったことですが、これはハイジャック犯が機内放送のボタンと、無線機の送信ボタンを押し間違えた為です。無線を受けた管制官は、ハイジャックが起きたと思い上司に報告しました。この知らせはすぐハーンドン連邦航空管制センターに届きました。
一方ユナイテッド航空93便の居るニューアーク空港では、大統領専用機の飛行による航空規制で出発便に30分の遅れが出ています。ハイジャック犯のリーダー、ジャッラーフは4機同時に標的に突入する予定が狂い、迷いが生じました。
同じとき、ロームにある軍の北東地域防空指令センターでは東海岸で行われる大規模な防空演習に備えて準備をしていました。そこにはハイジャックの報告が入ります。指揮官のマール大佐は上司のアーノルド将軍に連絡しました。この時、新たにユナイテッド航空175便も、ハイジャックされたらしいとの連絡が入ります。マール大佐は、ハイジャック機に対して、攻撃準備態勢を取ります。
話はボストンに戻ります。ハイジャック犯の音声を分析した結果、犯人は「飛行機(プレーイン)をハイジャックした」と言っているのではなく「数機の飛行機(プレーンズ)をハイジャックした」と分かり、他にもハイジャックされた飛行機がある可能性が出てきました。
ユナイテッド93便は、離陸を開始します。また、アメリカン航空11便が、正規の進路を外れニューヨークに向かいました。
ニューヨーク航空管制センターに、ボストンからハイジャックされたアメリカン航空11便が、そちらに向かったとの連絡が入ります。同時にユナイテッド航空175便の機長から、客席で騒ぎが起こっているとの連絡も入りました。
ハーンドン連邦航空管制センターは連邦航空局(F.A.A)にハイジャックの知らせを入れますが、担当の役人が不在で連絡が付きませんでした。ここから航空管制システムが崩壊し始めます。
8時46分
ニューヨーク航空管制センターのレーダーから、アメリカン航空11便の機影が消えました。
ロームにある北東地域防空指令センターでも、レーダーからアメリカン航空11便の機影が消え、待機中の戦闘機が緊急発進します。
ニューアーク空港の管制塔から、世界貿易センターが燃えているのが見えました。
ユナイテッド航空175便の応答が切れました。
ハードソン連邦航空管制センターにニューヨークから連絡が入ります。1つはタワーに衝突したのは、タワーに衝突したのは民間航空機であること、もう1つは、ユナイテッド航空175便もハイジャックされ、ニューヨークに向かって降下中のであることです。急いで軍に連絡しようとしましたが、連絡がつきません。
やがてユナイテッド175便は、レーダーから消えます。
9時03分
ニューアーク空港管制塔、旅客機が高速で降下し来て世界貿易センター南棟に激突し、爆発炎上するのが見えました。
この映像はテレビニュースで実況放送され、各地の航空管制センターは静寂に包まれます。
ユナイテッド航空93便に乗っているテロリストのリーダー、ジャッラーフは離陸が大きく遅れたことから、ハイジャックするかどうか、ためらっていました。仲間の一人がテロを実行するよう、催促しに行きます。
ハーンドン連邦航空管制センターはニューヨークの求めに応じ、ニューヨーク地区の空域を封鎖することに決め、ワシントン・ボストン・ニューヨークにある空港を閉鎖し、すべての便の離着陸を禁止しました。
軍のローム防空指令センターに、緊急発進した戦闘機から空域が封鎖されて、ニューヨークに入れないとの連絡が入ります。司令官のローム大佐は連邦航空局を無視してニューヨークに侵入するよう指示します。
さらに一時消息を絶っていた、アメリカン航空11便がワシントンに向かっているとの情報が入り、ラングレーから戦闘機を発進させ、ワシントンに向かわせました。(アメリカン航空11便は最初に世界貿易センターに突っ込み爆発していました。この時ワシントンに向かっていたのはアメリカン航空77便でした。当時は相当情報が錯綜していたようです。)
ハーンドン連邦航空管制センターにインディアナポリスから”アメリカン航空77便が予定進路から外れ、その後交信が途絶えた”との連絡が入ります。されにデルタ航空1989便が、ハイジャックされた可能性が出てきました。
ここにきて局長のベン・スライリーは全米の空港に閉鎖命令を出しました。
この映画の冒頭の会議の題目で、テロの前日2つの空港で混雑のため平均56分の遅れが生じ850機が巻き込まれる事件が起きました。この事件の経済的損失は7000万ドルと見込みれます。
それに比べてこの処置による経済的損失は、天文学的な数字になります。しかし、彼は経済的損失より人命を重視しました。こちらに、ベン・スライリー氏へのインタビュー記事があります。
軍の北東地域防空指令センターに追跡中戦闘機から、旅客機への交戦規則の指示を求めてきました。民間の旅客機への攻撃は大統領の承認を必要とします。ローム大佐はブッシュ大統領に攻撃の承認を求めます。
アメリカ同時多発テロの9月11日朝、ブッシュ大統領はフロリダ州サラソータにあるエマ・E・ブッカー小学校で授業を視察していました。学校に入る前に1機目がワールド・トレード・センターに突っ込んだことを聞いたが、この時は事故だと思っていた。
授業を視察している最中に2機目がサウス・タワーに衝突しアンドリュー・カード首席補佐官から「合衆国が攻撃を受けている可能性がある」と耳打ちされたが、その後7分間も子供たちが本を朗読しているのを聞いていました。
この時の様子を写したホームビデオの動画があります。左下に同じ時刻のCNNニュースの画面がはめ込まれています。(You Tubeより)
出典You Tube
“ウサマ・ビン・ラディンは2004年大統領選挙に先立ってビデオ声明(英語版)でテロ攻撃について言及し、「ブッシュ大統領が朗読を聞き続けたおかげでハイジャッカーが攻撃するのに十分な時間が与えられた」と述べている。”
出典ウィキペディア
ユナイテッド93便の機内の映像になります。ハイジャック犯の一人が、トイレで爆弾に見せかけた粘土にコードを取り付け上着で隠して、ビジネスクラス一番後ろの席に戻りました。
客室乗務員が操縦室に近づいた時を狙い、ハイジャックを開始します。客室乗務員を脅して操縦室のドアを開けさせたハイジャック犯たちは、操縦士と副操縦士を刺殺し、操縦桿を奪い機体をワシントンに向けます。ビジネスクラス一番後ろにいた犯人は、前席の乗客を刺し殺し、残った乗客に体につけた爆弾を見せ、機体の後部に移動するよう命令しました。
この時の操縦室の騒動はクリーブラント航空管制局に傍受され、その後の呼びかけに答えないことから、ユナイテッド航空93便がハイジャックされワシントンに向かっていることが分かりました。
ハイジャックされたアメリカン航空77便と、ユナイテッド航空93便がともにワシントンに向かっていることを知らされた、ロームの北東地域防空指令センターでは大統領と連絡が取れず、副大統領から攻撃の指示をもらおうとしましたが。彼はホワイトハウスの地下壕に避難していて、繋がりません。またラングレーから出撃した戦闘機は、騒音被害を防ぐため海上の航空路を飛行していましたが、連絡して直接ワシントンに向かわせます。
9時38分
アメリカン航空77便がワシントンの国防総省ペンタゴンに墜落し、爆発炎上しました。
ハーンドン連邦航空管制センターでは事態の収拾が付かなくなり、アメリカ国内を飛行中の航空機すべてに急いで最寄りの空港に緊急着陸するよう命じます。また、海外からアメリカに向かっている航空機には、引き返すよう指示を出しました。
ユナイテッド航空93便の機内では、機内電話で家族と話した乗客から、ハイジャックされた2機の飛行機がワールド・トレード・センターに突っ込み、さらにもう1機がペンタゴンに墜落したことを知らされます。
自爆テロの巻き込まれたことを知った乗客たちは、客席乗務員にナイフやフォークなど武器として使えそうなものを集めさせます。
乗客たちは一斉にハイジャック犯に襲い掛かり、操縦席に入りましたが、ユナイテッド93便は墜落し、全員死亡してしまいました。
人間とは、この先生きる希望を失った時、思わぬ力を発揮するものです。これはユナイテッド航空93便に載りあわせた乗客だけではなく、アメリカ軍に侵略されたアフガニスタンやイラクの人たちも同じだと思います。
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