なぜ戦争が始まるのか 

映画からその訳を探ってみようby亀仙人2世

映画 「突撃」戦争の不条理を描いた映画。

time 2017/04/18

映画 「突撃」戦争の不条理を描いた映画。

映画 「突撃」

1957年 アメリカ

監督
スタンリー・キューブリック

脚本
スタンリー・キューブリック
カルダー・ウィリンガム
ジム・トンプスン

原作
ハンフリー・コッブ

製作
ジェームズ・B・ハリス
カーク・ダグラス
スタンリー・キューブリック

出演者
カーク・ダグラス
ラルフ・ミーカー
アドルフ・マンジュウ

音楽
ジェラルド・フリード

撮影
ゲオルク・クラウゼ

編集
エヴァ・クロール

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あらすじ

第1次世界大戦のフランス軍のミロー大将は、ドイツ軍の堅牢な陣地「アリ塚」を攻撃するようダックス大佐に命令する。

現場で指揮を執るダックス大佐は、大量の犠牲者が出ると抗議したが聞き入れられなかった。

作戦が始まり敵の陣地に向けて突撃するが、敵の激しい砲撃と機銃掃射により進撃を止められ命令は実行できなかった。

ミロー大将は再攻撃を命じるが、兵士たちは無謀すぎる命令を無視。

作戦終了後、ミロー大将は失敗の原因は無理な作戦を立てた自分ではなく、命令を無視した部下にあるとして、見せしめのため連隊から3人を選び、形ばかりの軍法会議を開き、銃殺することにした。

そして、銃殺は行われた。

感想です。

作戦の失敗は作戦を立てた将軍にあるのだけど、自分は帰任を取らず部下のせいにして逃げてしまう。

上官との折り合いが悪いためや、くじ引きによってえらばれた兵士は、ただ軍の規律を守るためや、士気を高めるため不条理に殺されてまう。

戦場における名誉や、勇気に関係なく上官の保身のためにだけに殺される兵士たち。見ていて楽しい映画でなく、人間の持つエゴイズムの醜さを見せつけられ暗く、悲しい気持ちにさせられます。

ラストに、酒場で敵国ドイツ人の歌手の歌に魅せられ、涙を浮かべながら一緒に合唱する兵士の顔を、ひとりひとりアップで撮るシーンだけが、救いです。

この映画は、フランス国内では、しばらく劇場公開を禁止しました。

補足(フランス軍の反乱)

1917年4月から6月にかけてフランス軍に大規模な反乱がおきた。きっかけは新しく最高司令官になったロベール・ニヴェル司令官がドイツ軍に対して猛攻撃をおこなったことがきっかけです。

彼は、フランス軍の総力を挙げて戦うことで48時間以内にドイツ軍の前線を突破し、勝利すると豪語していた。しかしドイツ軍は前線の後ろに堅固な防御陣地を作り、フランス軍の前進を阻止した。この戦いで18万7人もの犠牲者を出し、突撃に嫌気をさした兵士たちは反乱を起こした。

反乱はフランス軍兵士の半分から3分の1が突撃命令を拒否したといわれる。

フランスはニヴェルに変え、新しくペタン将軍を司令官に据え事態の収拾を図った。ペタン将軍は各地の部隊を回り兵士から直接意見を聞き、余剰戦力を後方にもどし、定期的に休暇を与えるなどで兵士たちの支持を受け、士気の回復を図った。しかし、この時も反乱の罪で55名(公式、実数は不明)が銃殺された。

おまけ
最後に出てくるドイツ人歌手を演じた女優クリスティアーヌ・ハーランは、のちに監督スタンリー・キユーブリックと結婚しました。

の映画の元となったニヴェル攻勢の詳しい解説はこちら ↓

第一次世界大戦。1917年 「ニヴェル攻勢」 新しく司令官となったフランスのニヴェルは、「勝利の秘密を知っている」と言って、ドイツに対して大攻勢を仕掛けます。

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