なぜ戦争が始まるのか 

映画からその訳を探ってみようby亀仙人2世

「映画」 アラビアのロレンス

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亀仙人2

映画  アラビアのロレンス

1962年 イギリス

監督
デヴィッド・リーン

脚本
ロバート・ボルト
マイケル・ウィルソン

製作
サム・スピーゲル

出演者
ピーター・オトゥール
アレック・ギネス
アンソニー・クイン

音楽
モーリス・ジャール

撮影
フレディ・ヤング
ニコラス・ローグ

編集
アン・V・コーツ

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前編・後編あわせて227分の超大作のため見るのが大変ですが、見る価値は十分あります。

カイロに勤務している少しおかまみたいな変な軍人ロレンス中尉が、アラブに対する豊富な知識との語学力にを買われ、ドライデン率いるアラブ局の局員としてファイサル王子のもとへ送られる所から物語が始まる。

当時トルコはダマスカスからメディナまで通じるヒジャーズ鉄道を有し、兵員と物資の輸送に使っていた。

これはカイロからダマスカスまで、陸と海からトルコ軍を挟み撃ちにしつつ進軍するつもりのイギリス軍にとって背後をつかれる恐れがあり、非常に厄介な問題であった。

アラブ人がアカバを陥落させたことを知ったイギリス軍はロレンスに十分な資金と武器を供給し、鉄道の破壊とゲリラ戦を行わせ、右側面からの攻撃をなくすことが出来た。

昔は長い映画はフィルムが映写機に収まり切れないので、前編と後編に分かれてました。ここでも2つに分けます。

(前編)アカバ襲撃まで

「私は2人のアラブ人を殺した。それに対して許せない点がある。私は殺人を楽しんだのだ。」
アラブ局でドライデンの煙草に火をつけたマッチを吹き消した瞬間、夜明け前の砂漠に移り、小さな太陽が昇り始めテーマ曲が流れた途端アラビアのロレンスの世界に引き込まれてしまいます。

この映画はできるだけ大画面で見て貰いたい。そうでないと熱で揺らぐ地平線にポツンと小さな点が現れ、それがだんだん大きくなり人間と分かるアリが登場するシーンや、広大な砂漠の中を行軍する軍隊が蟻の行列みたいにしかみえないところが分からないと思います。

ロレンスはファイサル王子を説得し、50人の兵隊を借りアカバ攻撃に向かう。

熱砂のネフド砂漠を渡り切る直前、ガシムという男が一人砂漠に取り残されたことに気付いたロレンスは一人助けに行く。無事助けることに成功したロレンスは白い民族衣装を送られ、ロレンスひとりだけの部族の長として認められた。

人目につかない岩陰で、短刀に白い民族衣装の自分を姿を映し何度も眺めたり、服を着て踊ったりしているシーンがあります。やっぱりこの男、どこか変。

せっかく助けたガシムですが、アカバ攻撃の前夜、殺人を犯しロレンス自身の手で処刑された。

ガシムを殺した直後、ロレンスの表情が一変した。特に目つきの変わりようが凄い。

アカバ陥落の報告のためカイロに向かう途中、今度は召使の少年の一人ダウドが流砂のみ込まれ亡くってしまう。

2人の人間が自分のため死んだことにショックを受けたロレンスの顔から人間らしい表情が消え、スエズ運河に着いたときは、砂ぼこりで真っ白になってまるで動く石像の様だった。
前編の補足1
ネフド砂漠でガシムを照り付ける白銀の太陽は、撮影しようとしたけど太陽に向けたフィルムが熱で溶けてしまったため、映画では絵で表現しています。
前編の補足2
実際のアカバは監督の気に入らず、何もない海岸に撮影のため新しく町全体を作りました。
前編の補足3
映画に出てくるファイサル王子は、フサイン=マクマホン協定を結んだメッカの太守フサイン・イブン・アリーの3男です。

(後編)ダマスカスまで

「私は彼を敬愛しつつ恐れたが、彼自身も自分を恐れていた」
前編の終わりに、スエズ運河の向こう岸からオートバイの男が「お前は誰だ」と叫んだ言葉をもとに、ロレンスは誰かを主題にして展開していく。

鉄道を破壊する様子は同行する新聞記者によって報道され英雄に祭り上げられていく。ロレンスは破壊した客車の上で得意げに写真のポーズを取る。

冬を前にして仲間の戦士は略奪した獲物を手にそれぞれの村に帰ってしまう。

ロレンスは残ったアリの部下20名とともに、鉄道を爆破しながらダマスカスの手前ダルアーに向かう。

アリと2人でダルアーの偵察に行ったロレンスは、わざと水たまりの中を歩き自分はキリストと同じく水の上を歩き、奇跡を起こす人間だと示した。

その直後ロレンスはトルコ兵に捕まり拷問を受け、泥水の中に捨てられる。

これにより自分は英雄ではなく普通の人間だと思い知らされたロレンスはアリと別れ、エルサレムにある司令部に転属願を出しに行く。

この時のロレンスの様子がとっても変。サイズが合わないヨレヨレの軍服を着て、仲間から「気取ってますな」と言われる態度で歩くし、司令官に現場に戻れと説得されるときも、長椅子のひじ掛けにもたれて、顔をそむけている。これでは男が、拗ねている女をなだめているのと同じではないか。

アラブ統一のために戦ってきた裏で、イギリスとフランスがサイコス=ピコ協定でアラブを2分割することを知ったロレンスはイギリス軍よりも先にダマスカスを占領するために金で雇った殺人者や多くの部族を含めた大軍を率いてダマスカスに行く。

途中、村人を大量虐殺したばかりの退却中のトルコ軍に出会う。「無視してダマスカスに急ごう」というアリの忠告を聞かず「捕虜はいらん。皆殺しにしろ」と命令し全員殺してしまう。

イギリス軍より先にダマスカス占領を果たしたロレンスは、急いで国民会議を開きアラブ人の統一国家建設を目指すが、部族間の対立がひどく自然消滅してしまう。

戦いが終わって用無しとなったロレンスは、大佐に昇進されイギリスに送還された、
後編の補足1
イギリスに戻ったロレンスはしばらくは、後に首相となるチャーチルが大臣を務める植民地省でアラブ問題の顧問として働いていた。

ところが、1922年8月に偽名を使って2等兵として空軍に入隊。翌年1923年1月に身分がばれ除隊させられる。これに懲りず同年2月に今度は本名を「T・E・ロレンス」から「T・E・ショー」に変え再度入隊。1935年までインドやイギリス本国で勤務していた。

大佐と言えば師団や大隊を率いて作戦の実行を命令する身分で、給料や待遇も一兵卒と段違いなのに、なぜその地位を捨ててまで、普通の兵隊になりたかったのかは不明。

やっぱりこの人は、とても変わっている
後編の補足2
ファイサル王子は戦後ダマスカスを首都とするシリア・アラブ王国(現在のレバノンとシリアを合わせた領域)の国王となるが、領土がサイコス=ピコ協定のフランス領にあったためフランス軍によって追放され、イギリスに亡命した。
後編の補足3

イギリスのボービントン戦車博物館にある、ロレンスが使った

ロールスロイスの装甲車。

ロレンスは、ロールスロイス製の装甲車を9両使用していた。

のちにジャーナリストが、最も価値あるものは何かをインタビューしたときには、ローレンスは「私のロールスロイスと、人生の終わりまで使うのに充分な量のガソリンとタイヤ」と答えている。

当時、超が付くほどの高級車ロールスロイス・シルバーゴーストに強化型のエンジンを積み改造したロールスロイス装甲車は、一体いくらしたんだろう。

感想です

この稿を書くためにDVDを借りて改めて何回も見直してみた。

この映画の軸はイギリス軍に追われ、逃げるトルコ軍を全滅するシーンにあると思う。

アリの忠告通りトルコ軍を無視し、迂回してダマスカスに向かうこともできた。でも目の前に餌を見せられた犬のように、襲い掛かって一人残らず殺してしまう。

惨劇の後取材に来た、記者が

「汚れた英雄だ。その汚れた顔を1枚撮らせろ。汚れた新聞のためにな」

と言って写真を撮る。

殺人を犯したロレンスだけでなく、彼を英雄に祭り上げた新聞も汚れている。

それどころか、核兵器や毒ガスなどの大量殺りく兵器やいろいろな新兵器を生み出した科学者たち、さらに人を殺すと知りながら兵器産業に従事する人々も殺人者と言える。

そして大量殺戮を奨励し、多しく殺人者を生み出した国家の指導者たちが一番汚れている。

その結果、何百万、何千万という人たちが殺されてしまった。

砂漠の魅力を問われたロレンスが「清潔(クリーン)だから」と答えている。

砂漠は人間のいない場所なのだ。

 

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