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亀仙人2映画 「アルマジロ」
2010年 デンマーク
アフガニスタンにあるNATOが統率する、国際治安支援部隊(ISAF)のアルマジロ基地に配属された若いデンマーク兵士たちの、7ヶ月にわたる密着取材のドキュメンタリー映画です。都会に暮らす普通の若者が、タリバンとの交戦で人を殺すことにためらいがなくなる過程を映しています。以前「BS世界のドキュメンタリー」で2週にわたって流していたのがDVDになったので、改めて見てみました。
監督 ヤフス・メッツ
あらすじと感想
2001年、アフガニスタンでアメリカがカブールのタリバン勢力を制圧し、国際治安支援部隊(ISAF)が国内の治安に努めている。デンマークもNATOの一員としてこれに参加している。
1月、部隊の司令官が配属された若い兵士に向かって演説している。
「重要な任務なのか。
デンマーク国民に関係があるのか。
諸君は疑問に思うだろう。」
これが1つのテーマである。
もう一つのテーマは、普通の生活では殺人を経験することのない若者が戦場でのいろいろ経験を経て、最後は何のためらいもなく自分の手で敵を殺すようになるまでの変化を撮り続けていることです。
戦場に出た兵士のヘルメットに取り付けた小型カメラの映像で、見ている自分も実際に戦闘に参加している状況に放り投げられる。今までも実際の戦闘場面を撮ったドキュメンタリー映画もあったが、それはカメラマンの目線でとられた映像であり、戦闘に参加していた兵士が実際に見た世界とは違うものです。その点この映画は貴重です。
最初のパトロール
アルマジロ基地に着いて携行する武器の手入れや、最近の状況、近隣の住民との付き合い方、交戦規程などの説明を受け、全員で記念写真を撮りパトロールに出かける。
しかし、タリバンとの戦闘を期待していた彼らは、食べ物をねだる大勢の子供たちに取り囲まれ、戸惑ってしまう。さらに住民たちからは畑を踏み荒らさないよう言われるし、野外で授業している学校の先生かからは、
「あんたたちに協力すると、後でタリバンにひどい目にあうから、協力できない」
と言われる始末。
タリバンから守ってやっている(つもりだった)住民から歓迎されると思っていた彼らは、初日から現実に戻されてしまいます。
基地に着任して最初の任務は、畑を踏み荒らして住民から怒られただけで終わりました。
初日の感想は
「つまんなかった。普通だよ。」
「撃ち合いとでもあれば違うのかな。」
「これも仕事だ、銃撃戦だけが任務じゃない。」
「そうだよな。住民を助けたり。でも、早くジェットコースタに乗りてぇ。」
しかし、その夜の反省会で
「各自のスキルが非常に低い、最悪だ。休憩でバテるとは何事か。もっと体を鍛えろ。そうしないといつか殺されるぞ。」
と、ラスムス小隊長に叱られました。
初めての銃撃戦
近くで40名のパキスタン人が塹壕に立て籠っているとの噂が入り、彼らの動きを封じ込めるために、示威パトロールに出ます。
兵員輸送車に乗ったメスは近くの高台に陣取り、パトロール隊の周囲を警戒しています、
住民から
「タリバン軍がでっかい武器を持って近くにいる。」
との知らせが入ります。危険を察した近くの人々は、避難し始めました。
広い畑を歩いていると、突然近くの岩山から攻撃を受けました。メスは兵員輸送車の機関銃で援護射撃をしますが、弾詰まりを起こし撃てなくなりました。
激しい戦闘が続く中、住民から頼まれたらしく
「女子供を避難させたいから、攻撃を中止せよ」
との命令が入ります。彼らには逃げているのがタリバンか住民か区別がつかず、閉口します。
今回は全員、無事帰還しました。
あとはポルノ映画を見ながら、今日使った銃の手入れです。
3月 1か月経過
1か月たちました。若い彼らも任務に慣れてきて、暇なときはポルノを見たりパソコンでお互いに対戦ゲームで戦ったりしています。東洋人のキムは、現地の子供たちに人気で、子供たちにからかわれていました。
そんな中、夜間パトロール先で小隊長のラスムスが路肩爆弾で負傷します。
「危ないから屈めと彼に言ったら、”踊ろう”とか言うので思わず笑ったよ。
落ち着かせるために傍に座ったら頭に大けがをしていた。地獄だよ。」
小隊長は怪我の治療のため、いったんデンマークに戻ります。
5月 残り3ヶ月
小隊長ラスムスが部隊に戻ってきました。第一声は
「テメーラ、汗臭セッー。汗臭い男とハグするのは嫌だ」
でした。
迫撃砲の訓練で、幼い女の子が爆撃を受け死亡しました。照準手のマーチンは一人落ち込みます。
「標的を指示したのは俺だ。計画に従ってやっただけだ。」
仲間は
「仕方のないことだ。今更元に戻せない。非常な言い方だが、結局そういうことだ。終わったことだ、自分を責めるな。」
「今の世の中、何千人もの人が死ぬのを皆がニュースで見ている。あの子の死で悩むつもりはない。派遣されて来たんだ、故意にやったのではない。任務を遂行したんだし、また同じ事も起こる。仕方ない。」
数日後、一人のアフガニスタン人がやってきました。
自分が出かけている間、戦闘に巻き込まれて家は焼かれ、残っていた母親とたった一人の子供も殺されたと、苦情を訴えました。担当官は被害の状況を聞き、賠償金として1500アフガニを支払いました。
死んだ母親に対しては、
「母上は殉教者になられました」
との言葉で済ませています。
この二つのシーンは、後々まで心に残りました。
パトロール中、突然爆発が起こりました。兵士の一人が地雷を踏んで、両足切断の大けがを負います。
部隊全体が、大きなショックを受けました。
メスとキムの会話。
「もう終わりだ。」
「あいつらガンガン殺っても、もう罪の意識は感じないかも。野良犬を殺したほうが、まだ罪悪感を覚そう。」
「そうだな。」
この事件の後、彼らのパトロールは攻撃的、かつ破壊的なものに変化しました。
6月 残り2ヶ月
別の地区のデンマーク兵が、地雷で死亡。
報告を聞く兵士一人一人の顔が,クローズアップで写されます。顔の表情が、以前とまるで変っています。
この時の映像は映画では出てきませんが、DVDでは特典映像に収められています。
追悼式の晩、小隊長のラスムスはこちらから攻撃を仕掛けることを決意し、志願者を募ります。メスはこれに志願しました。
夜が明けきれる前、彼らは出発しました。
夜明け、村の住民たちが大勢逃げ始めます。近くに敵がいる証拠です。
見晴らしの良い畑を歩いていると、突然攻撃を受けました。皆急いで遮蔽物に隠れます。この時歩兵の一人が肩に銃弾を受け、負傷しました。彼は撃たれたことに驚いた表情で治療を受けます。
偵察からの報告で、敵は3メートルほど先の溝に潜んでいることが分かり、ダニエルが前に出で手りゅう弾を溝に投げ込みました。通信兵のジョーが後に続き、生き残った兵士を殺しました。また別のところに潜んでいた敵も見つかりね皆に殺されます。この最中もう一人が桃に銃弾を受け、負傷しました。
最後に敵が潜んでと思われる民家を爆撃して、戦いは終わりました。
この時の様子は、ヘルメットに取り付けられたカメラで撮られ、まるで自分がその場にいるような感覚になります。戦いの後、みな興奮してはしゃいでいます。人を殺したことに対する罪の意識はないのでしょうか。
反省会で、ダニエルが手りゅう弾を溝に投げ、通信兵と一緒に確認に行くと4人が呻いていてのでいたたまれなくなり、もっとも苦痛の少ない方法で始末した、と報告します。この報告が後で問題になりました。
負傷した兵士を殺すことは、ジュネーブ条約で禁止されているからです。大隊では単なる噂であるとして処理します。
殊勲者のダニエルは語ります。
「スゴイよな、戦闘中じゃなく、戻ってきてから味わう実感というか充実感、退屈なパトロールとは全然違う。自分がやったという充実感ずあった。」
メス。
「家族のものは疑問に思うだろう。なぜ人の命を奪うのかと。」
ダニエル。
「部外者は鼻で笑って俺たちのことを、病んでいるだの、人殺しなどと言うだろうけど、俺は正しいことをやった。俺たちは皆そうだ。」
8月 帰還
デンマークに戻った彼らは、家族や友人たちから大歓迎を受けます。
しかし、カメラは普段の生活になじめず、物思いにふけるメスやダニエルの姿をとらえます。
小隊長ラスムスやダニエル他数人が、アフガニスタンに戻ることを決めました。
メスも再びアフガニスタンに行こうと思っています。
アメリカのアフガン侵攻の解説はこちら ↓
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