なぜ戦争が始まるのか 

映画からその訳を探ってみようby亀仙人2世

映画「バンデラス ウクライナの英雄」マイダン革命直後、ドネツク州ヴェセレ村で乗り合いバスが襲撃される事件が起きました。

time 2023/01/14

映画「バンデラス ウクライナの英雄」マイダン革命直後、ドネツク州ヴェセレ村で乗り合いバスが襲撃される事件が起きました。

2014年9月、親ロシア派が支配するウクライナ東部ドネツク州のヴェセレ村で住民が乗った乗り合いバスが襲撃される事件が発生しました。ロシア側はウクライナ政府軍の攻撃であるとし、住民感情が一気に悪化してしまいます。

そんな中、ウクライナ軍現地指令官の机に、「この攻撃はロシア軍のホドックが行った」とのメモが置かれていました。

真相を確かめるべく、ウクライナ軍特殊部隊のアントン・サイエンコ大尉(通称「バンデラス」)が現地に派遣されました。

調査を進めていくと、ロシア側がウクライナ政府との対立を計るため、親ロシア派住民のヴェセレ村を砲撃し、村民を虐殺する計画が露わになりました。

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亀仙人2

映画 「バンデラス ウクライナの英雄」

2018年          製作ウクライナ

監督 ザザ・ブアヅェ
脚本 アルテム・キルサノフ、セルゲイ・ジューバ
製作 アルテム・キルサノフ、セルゲイ・ジューバ
音楽 フランコ・エコ
公開 2018年10月11日(ウクライナ)
上映時間 113分

あらすじ(ネタバレあり)と解説

2014年9月、ロシア側の兵隊数人がウクライナ政府側とみられる車両をロケット弾で、破壊しました。しかし、それは近くのヴェセレ村の住民が使っている乗り合いバスでした。分隊長は誤爆を隠し、ウクライナ軍のせいにするため、乗客全員の殺害を命じます。

ロケット弾を撃った兵士がバスに近づくと、乗客の老婆が「リョーハ」と兵士の名を呼びました。この老婆は仲間の兵士によってすぐ殺されました。名前を呼ばれた兵士は装備を捨て、その場から逃げ出しましたが、仲間によって追われ、地雷原に逃げ込み爆死してしまいました。

ウクライナ国家親衛隊特殊部隊所属のアントン・サイエンコ大尉(コードネーム 「バンデラス」)は、ヤレメンコ将軍の命を受けてヴェセレ村近くのウクライナ政府軍部隊の検問所に派遣されました。彼が派遣されたのはヴェセレ村出身のためでした。

ヴェセレ村では親ロシア派の軍隊とウクライナ政府軍が休戦状態に入っており、バスを襲った親ロシア派の兵士達はもめ事をおこし、休戦状態の停止を狙っているようでした。

 

検問所に着くと、ウクライナ空挺隊の隊長と、元ベルクト部隊の隊長が殴り合いの喧嘩をしていました。この喧嘩は元ベルクトの隊長が持っていたナイフが盗まれたことから、始まったようです。

ベルクトは、マイダン革命によってウクライナ大統領ヤヌーコヴィチが罷免される前までは、ウクライナ内務省に所属する国内の治安維持やテロ対策に対する特殊部隊でした。

マイダン革命の時は、親ロシアの政府側に立ち、政府に抗議するマイダン革命の参加者を射殺したことで知られています。

デモ参加者に対して銃を向けている、ベルクト隊員。

2014年1月19日

出典 Wikipedia

ベルクトの隊員が迫ってくるデモ隊に向かって、発砲している動画がありました。↓

ベルクトはマイダン革命終了後の2014年2月27日、市民に対して暴力行為を行ったとして解体され、親ロシア派の隊員はロシアに亡命したり、ロシアに併合されたクリミアに移りました。残った隊員は3月13日、ウクライナ内務省内に新たに設立されたウクライナ国家親衛隊となり、国内の治安維持や対テロ対策に当たります。

このためウクライナ軍の精鋭部隊と自負する空挺部隊と、かってマイダン革命のデモ隊を射殺したことが有る元ベルクト隊員の部隊とは、仲が良くありません。

ウクライナ軍駐屯地司令官の話によると、元ベルクト隊員部隊はバス爆破事件の一週間前に、この駐屯地に派遣されたそうです。

駐屯地は、古い鉱山跡に築かれており地下には昔使用した坑道が張り巡らされており、一部は部隊が倉庫や部屋として使用していました。また、この坑道を使えば隊の周りに作られた地雷原を通らずに、外に出ることが出来ます。

サイエンコ大尉とその部下3名は、工兵隊と偽っ部隊に加わり、近くに在る橋のそばに落ちた不発のミサイルを処理することになりました。

この橋は、昔恋人の取り合いで友達のリョーハと喧嘩して、川に落ちた時の橋でした。リョーハという名前を憶えていますか。村の乗り合いバスを、ロケット弾で爆破したロシア兵です。

仕事を終えて帰ろうとすると、トーニャという少女が

「近くで仲間の兵士が死んでいる。」

と伝えに来ました。

死んでいた兵士は空挺隊員のムジカで、トーニャの母親が勤めていた村の売店によく来ていたそうです。「すぐ村に行こう」といきり立った兵士をなだめ、遺体を車に積んで、いったん駐屯地に戻ります。

隊に帰ると、テントから一人の兵士が出てきました。どうやら頼んでおいた照明を治していたようです。このボルダという兵士は、隊で使っている歩兵戦闘車の照準器の修理もしていました。

映画に出てきたソ連製の歩兵戦闘車BMP-1

それまで非武装だった兵員輸送車と違い、73㎜滑空砲と対戦車ミサイルを持ち、戦車相手に戦うことが出来る世界初の兵員輸送車です。

ただ装甲が薄いので、戦車に撃たれたら一発でダメになってしまいます。

この車両の出現により『歩兵戦闘車』という新たなカテゴリーの車両が各国で製造され始めました。

乗員3名の他、歩兵8名を運ぶことが出来ます。

出典ウィキペディア

更に、兵士たちが中に入らず、車の上に乗っているのも訳があります。

下の写真を見てください。

これは車両の後ろにある兵員用の乗降ドアですが、なんと燃料タンクになっているのです。誰が設計したか知りませんけど、これでは後ろから攻撃されたら乗員は丸焼きになってしまいますね。

出典 Quora

 

ミサイルを破壊するとき手を怪我したバンデラス(サイェンコ大尉)は、治療のため軍医(イリナ・ドロバン中尉)の所に行き、死んだ空挺隊員ムジカの様子を聞きました。

死んだムジカは、鋭利なナイフで防弾チョッキを貫いて心臓を刺されていました。さらにもみ合った後がないことから、顔見知りでかなり訓練を積んだ者の犯行であり、村人のできることではないと言われました。

翌日ムジカが会っていたという売店の店員に遭うために、バンデラスはヴェセレ村に行きました。問題の店員はかっての恋人ヤーナでした。

20年前バンデラスは父親が亡くなって1年とたたないうちに母が再婚したことに腹を立て、家を飛び出してから、村に戻っていませんでした。

ヤーナは明け方の5時まで、ムジカと一緒に居たことを認めました。

隊に帰ると大隊長から、補給係の兵士コバレンコが20㎏の爆薬を持って、隊から消えたと伝えられました。新たなテロが発生する恐れがあるた、バンデラスは部下の一人を連れて村へ、残りの部下二人は消えたコバレンコを捜しに出動しました。

バンデラスが村に着くと、トーニャが政府軍の兵士が村に来ていると伝えました。バンデラスが捕らえると、その兵士は隊の軍医でした。軍医は民家の地下で、怪我をした親ロ派のを治療していました。

その兵士は、バンデラスの幼馴染で、村の乗り合いバスを爆破したリョーハでした。地雷を踏んで死んだと思われていたリョーハですが、足を撃たれて倒れた瞬間、別の弾丸が地雷に当たり地雷が爆発したそうです。リョーハの父親が隊の軍医に連絡して、軍医がリョーハを治療していたとのことです。事の起こりとなったホドックに関するメモは、リョーハが軍医に頼んで届けてもらったとのことでした。

バンデラスは民間人を殺した罪で、リョーハを逮捕しました。

丁度そのころ、補給係の兵士コバレンコが発見されたとの連絡が入りました。コバレンコも胸をナイフで刺されて死んでいました。そばに血の付いたナイフが見つかり、そのナイフは元ベルクトの隊長が盗まれたと言っていたナイフでした。

これにより元ベルクトの隊長モリャルはホドックしてして逮捕され、事件は解決したように思われました。

事件が一段落したところに、ボランティアによる食料品の差し入れが届きました。この日は隊員のボロダの誕生日なので、夜にみんなで祝うことになりました。

また、ハンデラスの恋人ジェニャもボランティアとしてやって来ました。

ボロダの誕生会には大勢の兵士が集まり、ボロダは5歳になる娘からの手紙を読んで聞かせました。彼は、皆から好かれているようです。

翌早朝、ウクライナ政府軍の兵士が村の売店にやって来て、開店準備をしていた定員のスヴェトカを殺し、手りゅう弾を投げて店を破壊しました。

早速ヴェセレ村の住民たちが、バンデラスのいる部隊に抗議のためにやって来ます。そこにロシア側の兵士がやって来て、

「1時間市内に犯人を引き渡さないと、攻撃を開始する」

と告げて帰りました。なんかすごく手際が良いです。

大隊長が隊員たちを調べると、空挺隊員のコリャンが居ないことが分かりました。コリャンは最初に死んだ空挺隊員ムジカの親友で、仇をとってやると騒いでいた男です。

バンデラスたちが、隊から外部に通じている古い坑道を調べると、二人分の足跡があり居なくなっていたコリャンが胸を刺されて倒れていました。

コリャンの傷は重く、怪我をしているリョーハ(バンデラスの古い友人)と一緒に、ジェニャが乗ってきたボランティアの車で、後方の病院に送ることになりました。ちょうどその時ロシア側からの砲撃が始まり、出発の準備をしていた皆は、病人を抱え坑道に避難します。

避難してホッとしたところ、外から手榴弾が投げ込まれました。どうやらホドックが顔を知られた空挺隊員のコリャンを始末しようとしたようです。

この手榴弾はバンデラスの部下インディアネツが覆いかぶさり皆は助かりましたが、インディアネツは爆死してしまいました。

砲撃が終わると、けが人たちは急いで出発しようとすると、ボロダも今の砲撃で足を怪我して、一緒に行くことになりました。

ボロダと戦ったコリャンはまだ気を失っており、リョーハは親ロシア派の民兵であるため、ボロダがホドックであるのに気がついてない様です。

砲撃されている最中、空挺隊の隊長コチュバが乗っていた歩兵戦闘車で反撃しましたが、砲弾は狙いを外れて村に落ちてしまいました。

調べてみると照準器が狂わされており、以前ボロダが砲の修理をしたときに細工したようです。

バンデラスは急いで自分のテントに行き、ボロダが修理した照明を調べると、盗聴器が仕掛けられていました。

いよいよクライマックス

バンデラスは、急いでボロダの乗った車を追いかけました。

バンデラスが追いかけていることに気が付いたボロダは、見張り役のホヴェルロをナイフで刺し、車から放り投げました。

バンデラスたちが彼を助けている間に、ボロダは村に逃げ込んでしまいました。

バンデラスはボロダを捕らえるため目立たないように単身村に潜入しました。そのころ村はロシア側の部隊によって、占領されていました。

村ではロシア側のテレビ局が来ていて、ウクライナ政府軍の兵士によって破壊された店や、救援物資を受け取っている村民の様子を撮影していました。

村に着いたボロダは、怪我をしているリョーハを、

「今度は、敵に掴まるなよ」

と言って、野戦病院の前で降ろしました。どうやらバンデラスとの関係に気がついてない様です。

ボロダは部隊の司令官マネケンのもとに行き、ホドックとしての役目を解かれ、1時間後に村を砲撃するから、取材のテレビ班と一緒に見物するといいと言われ、近くの丘に向かいました。

野戦病院で治療をしてもらったリョーハは、実家に戻っています。

救援物資を配り終えたロシア側の兵士達は、一斉に村から引きあげました。

 

村に入ったバンデラスは、ボロダを捕らえ、恋人のジェニャを奪い返し、村人たちをロシア側の砲撃から救えるのでしょうか。

許された時間は、1時間です。

ここから先は、映画を見てください。

この映画と同じように2015年、ドネツク州で民間人が乗っていたバスが攻撃され、乗客11人以上が死亡した事件が起きていました。

この事件の詳しい内容は下のYouTubeの動画で紹介されています。

ぜひ見てください ↓

『バンデラス ウクライナの英雄』実話

映像で見る限りウクライナ政府軍が主張したロシア側がロケット弾が爆破したより、ウクライナ政府軍の銃撃で破壊されたように見えます。

取材していたテレビ局は、ウクライナ政府軍によって親ロシア派の住民が住むヴェセレ村が砲撃され、多数の死者が出た、と報道すると思います。ロシア側の住民にウクライナ政府に対する恐怖心と、敵愾心を煽り立て、ロシア側の統治を容易にするためには、多少の犠牲者が出ても構わないと考えているようです。

オデッサの悲劇

2014年5月2日、これと似た事件がウクライナ南部の街オデッサでおこりました。

この日、オデッサのクリコボ広場に設置されていた親ロシア派のテント村に、大勢のウクライナ派の市民が襲い、近くの労働組合会館に逃げ込んだ親ロシア派の活動家に対して、火炎瓶を投げ48名の死者を出しました。

この事件の9日後の5月11日、ドネツクでウクライナからの独立を問う住民投票が行われ、圧倒的多数で分離独立派が勝ち、翌5月12日ドネツク人民共和国と、ルハンシク人民共和国がウクライナからの独立を宣言しました。

この時近くに在った消防隊が駆けつけたのは、火事が起きてから30分以上も経ってからであり、大勢の警察隊は何もせず、ただ見守っているだけでした。

この事件の詳しい説明は、こちらのの方に書いておきました。↓

 

オデッサの悲劇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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