なぜ戦争が始まるのか 

映画からその訳を探ってみようby亀仙人2世

映画「U-20」アメリカ参戦のきっかけとなった豪華客船ルシタニア号撃沈事件の映画です。

time 2017/08/16

映画「U-20」アメリカ参戦のきっかけとなった豪華客船ルシタニア号撃沈事件の映画です。

映画 「U-20」

2007年 イギリス

第1次世界大戦でアメリカが参戦するきっかけになった客船ルシタニア号が、ドイツの潜水艦「U-20」によって撃沈させられた事件を扱った映画です。

監督

クリストファー・スペンサー

出演者
ジョン・ハナー

ケネス・クラナム

マイケル・フィースト

映画「U-20」はドイツのUボート「U-20」がイギリスの客船「ルシタニア号」を撃沈したノンフィクション風のドラマで2007年イギリスのBBCが制作しました。原題は「LUSITAMIA」

客船ルシタニア号

ルシタニア号

ルシタニア号建造以前、大西洋横断航海で最速の船に贈られるブルーリボン賞は長い間ドイツが独占しており、イギリスはこれを取り戻そうとして高速の客船ルシタニアとモーリタニアの2隻を建造することにしました。

艦の建造にあたってイギリス政府は、有事の際仮装巡洋艦として使うことを前提に、260万ポンドの建造費と年間15万ポンドの維持費を援助することを約束しました。

ルシタニア号はタイタニック号と違い、仮装巡洋艦として使えるように水密隔壁を横方向だけでなく、片舷が損傷しても大丈夫なよう縦方向にも分ける縦通隔壁を採用しています。

1907年10月ルシタニア号は大西洋の西回り航路で23.99ノット(44.4キロ)、東回り航路で23.61ノット(43.7キロ)を出し、10年ぶりにブルーリボン賞をドイツから奪い取りました。

あらすじと感想

この映画の舞台となった1915年イギリス海軍の海上封鎖に対抗するためドイツは、Uボートによる「無制限潜水艦作戦」を発動し、イギリス及びその同盟国の旗を掲げた船舶を魚雷攻撃で沈めていた。

映画の初めに、当時の海軍省であったチャーチルはアメリカの艦艇が犠牲になりアメリカ人の犠牲者が出れば、反ドイツの世論が高まりアメリカ参戦が早まると期待していると思わせる言動があります。

主人公でスコットランド人のホーバン教授はルシタニア号に乗船する直前ドイツのルシタニア号襲撃予告の記事を読み、心配になって船長に尋ねました。船長はルシタニア号は高速でありUボートが追い付けないし、またイギリス海軍が見守ってくれているので大丈夫と請け合います。

ただルシタニア号は客船にもかかわらず、大量の弾薬を積むことに対して船長は不満を漏らしていました。

イギリス情報部はドイツの無線通信の暗号を解読していてU-20の正確な位置をつかんでいましたが、暗号を解読したことをドイツに悟られたくないため、U-20は北大西洋(映画ではアイリッシュ海となっているがアイリッシュ海はイギリスとアイルランドに挟まれた海で、地図に示された位置は北大西洋にあたります)にいるとの偽情報を海軍に渡していた。このため海軍はルシタニア号の予定航路上にUボートがいることを伝えられなかった。

またルシタニア号は最大24ノット近く出せたが、戦時中の石炭節約のため4基のボイラーのうち1基を止めていたので最大でも18ノットしか出せませんでした。

やがてU-20によって撃沈された船の位置からU-20がアイルランド沖にいることがわかり、海軍はルシタニア号にアイルランドの沖から離れた海峡の真ん中を通るよう指示を出します。

ドイツのハンブルク港に係留中のUボート

U-20は前列左から2隻目(艦首の番号で分かります)

この警告を受けターナー船長は水密区画を閉鎖し、見張りを増やし、乗客に連絡して船室の明かりが外に漏れないようにしました。また救命艇の準備もしました。

5月7日前夜からの霧で位置を失ったルシタニアは岸に近づけ地形から現在位置を知ろうとしました。一旦霧が晴れアイルランドの海岸が見えましたが位置を確定できませんでした。この時点でU-20に発見されましたが、距離が遠すぎたためU-20は攻撃を諦めました。午後1時40分アイルランドのキンセール近くのオールドヘッドと呼ばれる特徴ある岬を発見し、位置を確定できました。急いで岸を離れ沖合に出ようと進路を変えましたが、その進路はU-20の前を横切る形になりました。

午後2時10分、魚雷はルシタニア号に命中しました。その後大爆発を起こし、船は右に傾き始めました。爆発の原因は現在でも不明です。18分後船は沈没しました。

1257人の乗客と702人の乗組員のうち生き残ったのは1198人(アメリカ人の犠牲者は128人)、映画によると129人の子供のうち助かったのは35人、139人の幼児のうち助かったのは4人であった。

ターナー船長は船と運命を共にするつもりで最後までブリッジに一人残っていたが、沈没の際流れ込んできた海水に海に投げ出され、意識不明で漂っているところを救助された。

この事件でドイツに対する非難が高まり、対ドイツ戦争のプロパガンダに利用された。

6月15日この事件の審問委員会が開かれたが、英海軍は裏からいろいろ工作を施し、戦争の継続に有利になるよう判決を捻じ曲げ、英海軍とターナー船長は無罪になり、ドイツ潜水艦U-20にすべての罪をかぶせた。

映画によると何年か後、当時海軍相だったチャーチルはこう書いたそうです。

「ルシタニア号の沈没は悲惨であったが、連合国にとっては重要な出来事だった。アメリカが参戦を決めるまで2年もの月日を要したが、海底に沈む赤ん坊たちはドイツに大打撃を与えたのだ。その力は戦死した10万の兵士たちの功績よりも大きい。」

結局、最後にホーバン教授の言うように

「政府が守るのは、国民ではなく、政府自身」なのだ。

アメリカ参戦に関する記事はこちら ↓

なぜ、アメリカは第1次世界大戦に参戦したのか?

 

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