なぜ戦争が始まるのか 

映画からその訳を探ってみようby亀仙人2世

映画 「灰の記憶」 アウシュビッツ収容所で働く、ゾンダーコマンドを扱った映画

time 2018/10/10

映画 「灰の記憶」 アウシュビッツ収容所で働く、ゾンダーコマンドを扱った映画

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亀仙人2

映画 「灰の記憶」

2001年  アメリカ

第2次世界大戦ナチスは、アウシュビッツ強制収容所でユダヤ人をガス室に送り、焼却していました。ナチスのためにユダヤ人ながらこの作業をしていたゾンダーコマンドのホフマンは、ある日ガス室で生き残った少女を発見するのでした。

監督 ティム・ブレイク・ネルソン
脚本 ティム・ブレイク・ネルソン
原作 ミクロシュ・ニスリ
製作 クリスティーン・ヴェイコン
パメラ・コフラー
ティム・ブレイク・ネルソン
製作総指揮 ハーヴェイ・カイテル
ダニー・ディムボート
ペギー・ゴームリー
アヴィ・ラーナー
ダニー・ラーナー
トレヴァー・ショート
ジョン・ウェルズ
ブラッド・ウェストン
出演者 デヴィッド・アークエット
ハーヴェイ・カイテル
音楽 ジェフ・ダナ
撮影 ラッセル・リー・ファイン
編集 ティム・ブレイク・ネルソン
ミッシェル・ボッティチェリ
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あらすじと解説

舞台となったアウシュヴィッツ強制収容所で、人体実験をしていた親衛隊(SS)大尉で医師であるヨーゼフ・メンゲレのもとで働いていた、ユダヤ人医師ミクロシュ・ニスリの手記を基に作られた映画です。

この映画でも、ニスリは収容所の医師として出ています。彼はユダヤ人で妻と娘の命と引き換えに、メンゲレのもとで人体実験をして、囚人の解剖を行っていました。

主人公のホフマンが属していたゾンダーコマンドとは、4か月間の処刑延期と引き換えにナチスの助手として同胞のユダヤ人をガス室に送り込んだり、その死体を処理していました。

大量の死体を処理するのに必要な彼らは、他の囚人とは異なり焼却所の2階に住み、ほかの囚人たちよりもましな生活をしていました。またガス室に送られた人たちから没収した煙草や酒、食べ物を手に入れることも出来ました。更に監視する兵士に隠れて貴金属やお金なども手に入れ、それらは監視する兵士に対して支払う賄賂となります。

映画の冒頭はホフマンの仲間たちが、同じゾンダーコマンドの一人を殺すところら始まります。ホフマンは殺された仲間を焼却炉に運びました。

殺された彼はゾンダーコマンドになった初日に、一緒に収容所に送られた妻と娘、そして孫たちを焼却炉に入れ処理しました。その2週間後、彼は毒を飲み死のうとしましたが、死ねなかったため仲間たちによって殺されたのです。

上の2枚の写真は旧さんのブログから拝借したもので、クレマトリウムというガス室と焼却所を備えた複合施設の模型です。上の写真が地下の脱衣所で下の写真の地下に設けられたガス室に続いています。地上につながっている換気口から毒ガスの缶が投げ込まれ、死体は地上にある焼却所に運ばれ灰にされます。ゾンダーコマンドたちは、この焼却所の2階で暮らしていました。脱衣所やガス室の地上部分には芝が植えられ、広い中庭になっています。 出典旧さんのブログ

ガス室で使われた毒ガスは、チクロンBと言われるシアン化合物系の殺虫剤で発疹チフスを媒介するシラミを除去するのに有効とされています。映画の中でゾンダーコマンドが病気を産むシラミを退治するために、シャワーを浴びて消毒するだけだと言って囚人をガス室に送っています。

チクロンBから発生するシアン化水素は空気より軽く拡散しやすいため、密閉された空間(ガス室)で使われました。チクロンBはもともと密閉された空間で使う燻煙殺虫剤であるため、使われてもすぐには死ねず、絶命するまで約20分間苦しみ続けます。

映画の中で助かった少女は、大勢の人々の下敷きになり、床に押し付けられていたため、ガスの被害が少なかったと思われます。

チクロンBの空き缶(オシフィエンチム博物館展示) 出典ウィキペディア

この映画は、「人は簡単に残酷なことを行えるようになる」を見る人に突き付けてきます。

焼却場で働くゾンダーコマンドたちはガス室に送られる期間を4か月延長してもらう代わりに、毎日何百人という人をガス室に送り、死体の処理をしています。そこにあるのは、いかに効率よく多くの人を殺すか、ということです。このような状況でなかったら、善良な一市民として暮らしている人たちが、たった4か月生き延びるために変わってしまうのです。

これは、監視しているドイツ軍の兵士たちも同じです。もともと普通の市民だった彼らも、絶滅収容所でいかに効率よく大量にユダヤ人を殺すかを目標にして、働いています。

そのため作業の障害になる囚人たちを、次々と排除(殺して)していきます。殺された囚人たちは、ドイツ兵にとっては円滑な作業を妨げる異物でしかありません。異物を排除するのは当然の仕事で、そこには何の感情もありません。たとえそれが人を殺すことでも、淡々と勤務の一環として行なっているだけです。

また、(送られて来た人数)=(まだ生きている人数)+(死んだ又は殺した人数)が一致することが必要なため、処罰や見せしめとして処刑する場合はきちんと整列させ、端から順番に殺していきます。もしこの数が合わないときは,脱走者が出たことになり、自分の勤務成績の汚点となります。

 

この物語は、1944年10月アウシュヴィッツ第二強制収容所ビルケナウで起こった、ゾンタ―コマンドの反乱による焼却炉の破壊を背景に進んでいきます。

軍需工場で働く女性軍需コマンドたちは、工場から火薬を盗み、それを焼却炉に送られる仲間の下着に隠して、焼却炉のゾンダーコマンドのもとに送っていました。

しかし、これがドイツ側に露見してしまい関係者が一人一人、拷問にかけられて死んでいきます。

この中で尋問役のゲシュタポの一人が怖い。私はやりたくないけど、仕事でやっているだけだという態度で、簡単に女囚を拷問して殺してしまいます。

一人ずつの拷問ではだれも白状しないと知ったゲシュタボの指揮官は、首謀者二人の前に同じ棟の囚人全員を整列させ、白状するまで端から順番に射殺していきます。耐え切れなくなった二人は高圧電流の流れる柵に飛びついて死んだり、監視の兵士に飛び掛かって死んでしまいました。

白状させることに失敗した指揮官は、「(死んだ人を)数えとけ」とだけ言って立ち去ってしまいました。

第1焼却場の監視役ムスフェルドSS(ナチス親衛隊)軍曹は、ニスリ医師に妻子の安全と引き換えに、反乱の情報を探るように言います。この軍曹も大戦の終盤になり、ソビエト軍が収容所の近くまで迫っており、遅かれ早かれ自分も囚人たちと同じように死ぬ運命であることを、察していました。

収容所のゾンダーコマンド達も、延命期間の4か月が迫ったうえ、火薬を手に入れたことがばれたため、早急に焼却炉を爆破することを決めました。

いつも通りガス室で死体を運ぶ仕事をしていたホフマンは、偶然生き残った少女を見つけました。彼は少女を倉庫に運び、ニスリ医師に連絡します。ニスリ医師の治療により、少女は回復しました。

ほかの焼却場のゾンダーコマンドたちと、暴動と手はずと少女の処置をめぐって相談しているところを、ムスフェルド軍曹に見つかり、隠していた少女も発見されてしまいました。

ニスリ医師は、暴動の計画を話すことの代わりに少女を助けることをを提案し、軍曹も了承しました。ニスリ医師は肝心なところを隠し暴動の計画を話したため、軍曹は納得しませんでしたがなぜか少女を助けることにしました。

 

1944年10月7日午後3時ごろ、まず第3焼却所が爆破され、続いてホフマンたちのいる第1焼却所も爆破されました。暴動が始まったのです。


ガス室のあった複合施設(クレマトリウム)の破壊跡  出典ウィキペディア

暴動は鎮圧され、関係者一同は中庭にうつ伏せに並ばされ、順番に打ち殺されてしまいました。助けられた少女はこの様子を見ていましたが、逃げようとして出口に向かって走ったところで軍曹により射殺されてしまいます。強制収容所で何が行われているかを知っている少女を、生きたまま外に出すことは許されないことなのです。

この映画の怖い所は、大勢の人が殺されることより、周囲の状況が変わると、普通の人が淡々と人を殺すように変わってしまうことです。

最後に殺された少女が、焼却炉で焼かれ灰になるまでを語っていますが、この部分はぜひ吹替の日本語で見てみてください。怖いですよ。

 

このに映画と同じく、アウシュヴィッツ強制収容所でゾンダーコマンドとして働いていたユダヤ人ウースランデル・サウルを主人公とした映画があります。 ↓

映画 「サウルの息子」 ゾンダーコマンドのサウルが見たアウシュビッツ

 

 

 

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