映画　「サイレント・マウンテン」　厳壁の戦場

映画　サイレント・マウンテン　厳壁の戦場

「戦争がこの山にもやって来た。２つの家族はすぐさま敵同士に」
２０１３年　オーストリア　　日本未公開

監督／エルンスト・ゴスナー
製作／エルンスト・ゴスナー
製作／ハインツ・シュトゥサック
脚本／クレメンス・アウフダークラム
撮影／ダニーラ・ナップ
音楽／グレゴール・ナルホルツ

出演
アンダル・グルーバー／ウィリアム・モーズリー
ヌリア／クラウディア・カルディナーレ
カール・グルーバー／ハラルト・ヴィンディッシュ
フリッツ・ワインバーガー／フリッツ・カール
フランチェスカ／エウジェニア・コスタンティーニ
アンジェロ／ジュリオ・クリスティーニ

イタリア戦線の山岳戦を、オースリア側から描いた作品

ストーリー

南チロルでホテルを経営するグルーバー家では、娘リズルの婿にイタリア人の土木技師アンジェロを迎え盛大な結婚披露パーティーが開かれていた。

その最中イタリアがオーストリアに宣戦布告した知らせが届き、イタリア人の家族は急ぎイタリアに帰った。ただ婿アンジェロの妹フランチェスカはリズルの弟アンダルに恋心を抱き、オーストリアに残った。

長期間の攻撃に手を焼いたイタリア軍はアンジェロに命じ、アンダルを含め岩山にこもるオーストリア軍を攻めるためのトンネルを掘らせる。

イタリア軍はこのトンネルに大量のダイナマイトを仕掛け、岩山全体を爆破することにした。

上の写真はソンムの戦いでイギリス軍の爆破によって作られたロッホナガー・クレーターと呼ばれる穴。穴のふちに人が立っている。

このように敵の陣地の真下にトンネルを掘り、大量の爆薬を仕掛けて敵の陣地を爆破する作戦は、あちこちで行われた。もちろんイタリアでも。

感想です

見たDVDが英語吹替版なのでガッカリ。頼むからオリジナルのドイツ語にしてくれ。イタリア側はちゃんとイタリア語で話している。

映画は戦闘場面と、親子、夫婦、恋人が２つの国の間でどう暮らしたかが半分半分になっています。

ドロミテの岩山に双方が塹壕を掘り、対峙している。

イタリア軍のオペラ好きの指揮官が興味深い。蓄音機を前線に持ち込み思い切り大きな音でオペラを流しながら突撃命令を出したり、作戦会議の最中もオペラを流し続け、サビの部分に来ると会議を中止し、自分も一緒に歌いだして部下を呆れさせてしまう。このキャラクターは、面白い。でも、この映画のイタリア軍は、勇敢だし、とても強い。

激しい戦闘後に、戦死した息子を担いで帰るグルーバーの前に、同じく死んだ戦友を背負ったイタリア人で婿のアンジェロ近づいてくる。二人は戦うことなく、お互い涙を流しながら、黙ってすれ違っていく。セリフは何もないけど、このシーンは重い。

最後に脱走したアンダルとフランチェスカを追ってきた教師を、フランチェスカは石で殴り殺してしまう。なぜこれほど憎まれたかは、ネタバレになるので書かないけど、伏線は最初の結婚式の場面にあるので、この映画を見る人は気にしていてください。殺した後振り返ったフランチェスカの表情は、アンダルが一瞬たじろぐ程、変わっていた。

 

イタリア戦線の解説はこちら

第１次世界大戦　イタリア

 

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