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亀仙人2第2次世界大戦(原子爆弾)
アインシュタインの相対性理論で物質には莫大なエネルギー含まれていることが明らかにされました。ウラン236が核分裂を起こして出来るクリプトン92とバリウム141、あと放出された中性子の重さを足しても、元のウラン236の重さよりも軽くなっています。この軽くなった分の重さがエネルギーとして発散されるのです。
マンハッタン計画
人類最初の原爆はこうして作られた
最初に
1898年キューリー夫妻が天然鉱石の瀝青ウラン鉱(ピッチブランド)から放射線を出すラジウムを発見した。その後原子に関する研究が進み陽子、中性子、電子等からなる原子核の構成が明らかにされた。
1933年、レオ・シラードは中性子が、原子核に衝突しその原子核が不安定になり中性子を生じ.その中性子が別の原子核に衝突し、その反応が連鎖していく理論を発表し原子爆弾の可能性を示唆した。彼の理論は1938年ドイツ人科学者オットー・ハーンとフリッツ・シュトラスマンがウランに中性子を当てたところ、ウランが分裂し新しい元素バリウムが生成され証明された。
右の図は、核分裂反応で 中性子を吸収したウラン235が、クリプトン92とバリウム141に分裂した例。この分裂の際、平均2 – 3個の高速中性子が放出されます。
1939年、デンマークの理論物理学者ニールス・ボーアは、オットー・ハーンらの研究結果を自らの原子核分裂予想と関連付け核分裂の理論を米物理学会で発表した。かくしてウラン235が核分裂しやすい物質であることを世界が知った。1939年6月、イギリスのバーミンガム大学でフリッシュとルドルフ・ピエールスの二人はウラン235の臨界質量を調べ、10キログラムあれば核分裂反応が連続することを発表した。
これにより、原子爆弾の具体的な製造方法が分かった。
1939年9月1日、ドイツがポーランドに侵攻したことにより、第2次世界大戦が始まった。
ナチスドイツの原子力研究
ドイツには核分裂を発見したオットー・ハーンと理論物理学者ヴェルナー・ハイゼンベルクの2人のノーベル賞学者がいて、核分裂分野では世界の最先端にいた。1939年4月末には、ハイゼンベルクによって「カイザー・ヴェルヘルム研究所」に原子炉が作られていた。
第二次大戦前,ドイツによるチェコスロヴァキア併合が行われると,ヨハヒムスタールのウラン鉱山もドイツ領となり,ドイツはこのウラン鉱石を独占していた。
しかしヒトラーが原爆に対して興味を示さなかったため、原爆製造には至りませんでした。
ナチス・ドイツが先に核兵器を保有することを恐れた亡命ユダヤ人のレオ・シラードらが、1939年、同じ亡命ユダヤ人のアインシュタインの署名を借りて(アインシュタイン自身が送ったことにして)ルーズベルト大統領に信書を送りアメリカ政府が核開発するよう働きかけた。
1941年春、原爆に対するもう一つの発見がありました。カリフォルニア大学バークレー校でグレン・シーボーグがウランに中性子を当てることで生成されるプルトニュウムを分離することに成功し、さらにそれがウランと同じく核分裂を起こすことを明らかにしました。これによって原子炉でプルトニュウムを作り原子爆弾にする方法が確立しました。
マンハッタン計画
1942年、アメリカ合衆国は、原子爆弾の製造に着手します。時の大統領はフランクリン・ルーズベルトでした。一連のプロジェクトは「陸軍マンハッタン工兵管区」と名付けられ、責任者としてレズリー・リチャード・グローヴス准将(陸軍工兵隊を指揮してペンタゴンを造った)が着任しました。
ウラン235
天然ウランはウラン238が99.3%、ウラン235が0.7%で構成され、核分裂を起こすのはウラン235だけです。ウランを使う原子爆弾を作るのにあたって一番の問題は、天然ウランの中に0.7%しか含まれていないウラン235をいかに取り出すかにあります。
電磁分離法
ウラン235を濃縮する方法でイオン化した6フッ化ウランを磁場の中に通すと違う軌道を通るのでこれで分別します。右の図で黒い玉がウラン235、白い玉がウラン238です。
この作業はテネシー州のオークリッジに作られたサイクロトロンで行われました。
オークリッジに作られたサイクロトロン↓
プルトニウム
天然ウランに中性子を照射すると、ウラン235は核分裂を起こすが、ウラン238は中性子を吸収してプルトニウム239に変わります。また核分裂で生じた中性子もウラン238に吸収されプルトニウムになります。ウランとプルトニウムは違う金属なので容易に分離できます。
ワシントン州ハンフォードでプルトニウムを作るための原子炉とプルトニウム精製施設が作られた。
ロスアラモス
1943年3月ニューメキシコ州に原子爆弾の開発と製造を専門に行うロスアラモス研究所が設立された。ロバート・オッペンハイマー所長(天体物理学、核物理学、量子力学などの理論物理学者)はまず、ウラン235の核分裂を発見したニールス・ボーア、中性子による元素の人口転換をしたエンリコ・フェルミ、当時一流の数学者であるジョン・フォン・ノイマン(後に現在使われている、ノイマン式と言われるコンピーターの動作原理を発明した)を招集した。
その後、これら有名学者の下で働きたいという1300人の科学者と技術者が集まり、軍関係者など総勢6700人が働いていた。
原子爆弾の仕組み
上が広島に落とされたガンバレル(砲身)型の原爆です。臨界量未満の二つに分けた濃縮ウラン235を火薬で合体させ核分裂を起こさせます。
下が長崎に落とされたインプロージョン(爆縮)型の原爆です。
濃縮プルトニウムの中には、自然に核分裂を起こすプルトニウム240が含まれているため、球状にした密度の低いプルトニウムの周囲に置いた火薬を爆発させ、一挙に密度を高め核分裂の連鎖反応を起こさせます。ただ真ん中に偏って伝わるとそこが先に核分裂を起こし、全体がバラバラに吹き飛びます。許される誤差は100万分の2秒と言われます。
茶色の部分が燃焼速度が速い火薬、桃色の部分が燃焼速度の遅い火薬、これを調節して衝撃波が真ん中に同時に伝わるようにします。この計算は非常に難しく、担当したフォン・ノイマンでも10ヶ月かかりました。
トリニティ実験
1945年7月26日、ニューメキシコ州アラモゴード北の砂漠で人類最初の核実験が行われました。使われた原爆はプルトニウムを使ったインプロージョン(爆縮)型でした。
アイキャッチ画像の写真はこの時撮られた爆発直後の写真です。
この計画に投じられた金額は約20億ドルと言われています。日本円にして約2000億円、ちなみに当時戦艦大和の建造費が1億7000万円、ゼロ戦1機の値段が5万5千円であることを考えると、とてつもない金額と言えます。
マンハッタン計画を題材にした映画はこちら ↓
日本への原爆投下の解説はこちら ↓
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