なぜ戦争が始まるのか 

映画からその訳を探ってみようby亀仙人2世

映画 「フェア・ゲーム」 夫がイラクの核兵器開発のウソを暴露したため、ホワイトハウスから報復を受け身分を明かされた、CIA女性エージェントのお話

time 2018/03/26

映画 「フェア・ゲーム」 夫がイラクの核兵器開発のウソを暴露したため、ホワイトハウスから報復を受け身分を明かされた、CIA女性エージェントのお話

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亀仙人2

映画 「フェア・ゲーム」

2010年  アメリカ

ブッシュ大統領は2003年1月28日の一般教書演説で、イラクがニジェールからウランを輸入して核開発を進めていると演説しました。

しかし、2002年の2月に前ガボン大使のジョゼフ・ウィルソンがCIAからニジェールに派遣され調査した時の結果では、そのような事実はないと報告していました。2003年7月6日ジョゼフ・ウィルソンは、ブッシュ大統領演説の内容が嘘であるとニューヨーク・タイムズ紙に寄稿しました。

恥をかかされたアメリカ合衆国政府は、ジョゼフ・ウィルソンの妻ヴァレリー・ウィルソンがCIAのエージェントであることをリークしてしまいます。

この映画は機密情報がアメリカ政府によって暴露され、家族が危険にさらされた一家の話を(プレイム事件)をもとに作られました。

アイキャッチ画像はヴァレリー・プレイム本人 出典ウィキペディア

監督
ダグ・リーマン

脚本
ジェズ・バターワース
ジョン=ヘンリー・バターワース

原作
ジョゼフ・ウィルソン
ヴァレリー・プレイム

製作
ビル・ポーラッド
ジャネット・ザッカー
ジェリー・ザッカー
アキヴァ・ゴールズマン
ジェズ・バターワース
ダグ・リーマン

製作総指揮
ジェフリー・スコール
デイヴィッド・バーティス
メアリー=ジョー・ウィンクラー
ケリー・フォスター
モハメド・カーラフ

出演者
ナオミ・ワッツ
ショーン・ペン

音楽
ジョン・パウエル

撮影
ダグ・リーマン

編集
クリストファー・テレフセン

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あらすじ(ネタばれあり)と感想

題名のフェアゲートとは

ここでいうゲームとは獲物という意味です。フェアゲームとは、例えば狩猟期間中の動物のように、公に攻撃を許された獲物ということを言います。

イラク核開発疑惑

9.11アメリカ同時多発テロの後、アメリカ国内のメディアはテロに対する恐怖を連日流し続けていました。

そんな中、ブッシュ大統領はイラクのフセイン大統領打倒を決意し、攻撃の理由づけにフセイン大統領が大量破壊兵器の開発を進めている証拠を見つけるよう、CIAに命じました。

CIA核兵器拡散対策室のヴァレリー・ウィルソンは、反核拡散課イラク分課の作戦チーフに任命され、イラク核疑惑の調査に当たりました。

 

イエローケーキと遠心分離機

イエローケーキ

採掘された天然ウランにはウラン238が約99.3%、ウラン235が約0.7%含まれている。このうち、ウラン235は核分裂する放射性同位体であり、原子炉で核燃料として用いられる他、核兵器の主要な材料として用いられる。

ウラン鉱石を細かく砕いた後、硫酸などに溶かし、不純物を取り除いてウラン含有量を60%位に高めたものが、イエローケーキと呼ばれるウラン精鉱です。

イエローケーキ 出典 ウィキペディア

イラクがニジェールからウラン精鉱を購入を契約したという疑いについて(ニジェール疑惑)、CIAからニジェールに派遣されたヴァレリー・ウィルソンの夫ジョゼフ・ウィルソンの調査でニジェールの年間生産量の40%に当たる500トンのウラン精鉱をイラクに秘密裏に売ることは不可能であり、そのような事実はないという報告書が出ています。

遠心分離機用アルミ管

イエローケーキに0.7%しか含まれていないウラン235を核分裂を維持するのに必要な濃度(3~5%)にする方法の一つが、アルミ管で作られた遠心分離機を使うことです。

ウラン精鉱を硝酸で洗い汚れを取ってから、フッ素と化合させ6フッ化ウランのガスを作ります。このガスをアルミ管で作られた遠心分離器にかけるとウラン238が外側、それより軽いウラン235が内側に集まります。この作業を気の遠くなるほど繰り返して、濃度を高めていきます。

ウラン濃縮用遠心分離機 出典 六道輪廻サバイバル日記

ちなみに原子爆弾を作るのに必要なウラン235の濃度は90%です。

イラクが大量のアルミ管を輸入したことについて、CIAの調査ではこのアルミ管はロケット兵器用であり、ウラン濃縮用の遠心分離機には使えないとの結論になっています。

侵攻直前の2003年3月7日にも、国際原子力機関のモハメド・エルバラダイ事務局長は国連安保理への報告で「ニジェール疑惑は偽造文書」そして「アルミ・チューブはロケット・エンジン用」と断定していました。

イラク戦争開戦のために、フセイン大統領が核開発を行っているとの情報が欲しいアメリカ政府は、チェイニー副大統領の副大統領首席補佐官ルイス・リビーを度々CIAに派遣して、微かな可能性でもあれば核開発を行っていると発表するよう圧力をかけます。

この圧力のかけ方は、担当者の言葉尻をとらえて追及し、少しでも言い淀んだら強引に合意させるものです。この駆け引きは、映画をご覧ください。

結局、テネットCIA長官(この役を演じているブルース・マッギルは映画「ブッシュ」でもCIA長官を演じています)は、イラクが輸入したアルミ管はウラン濃縮用だと主張する局員のターナーを連れて大統領に説明することになりました。

一方ヴァレリー・プレイムはイラク国内の核技術者や科学者と秘密裏に接触して、イラク国内の核関連施設が1991年の湾岸戦争後に破壊され、それ以後は大量破壊兵器の開発・研究は行っていないとの報告を出します。

イラク戦争開戦へ

ブッシュ政権はCIAの調査報告を無視して、ライス国務長官やチェイニー副大統領がマスコミにイラクがウラン濃縮に必要なアルミ管を大量に輸入したと発言します。

ブッシュ大統領も2003年1月の一般教書演説で、イラクがアフリカから大量のウランを購入したと発言して、イラクが核兵器開発を進めているかの様な情報操作を行い、2003年3月19日イラク戦争を始めました。

プレイム事件

ジョゼフ・ウィルソンは、2003年7月6日付けのニューヨーク・タイムズ紙に、イラクの核開発についての情報が捻じ曲げられていると『アフリカで私が見つけなかったもの』という題の文章を寄稿して世論に訴えました。これによりアメリカ政府は苦境に立たされることになりました。

翌7月7日にアメリカ政府は、イラクがウランを輸入した情報は誤りであったことを認めました。

このままでは信用が失墜すると考えたブッシュ大統領は、カール・ローブ大統領次席補佐官と相談して復讐する手段を探します。

調査の結果ジョゼフの妻ヴァレリー・ウィルソンがCIA局員であり、彼女の推薦で夫のジョセフがニジェールに派遣されたことが分かりました。

2003年7月14日、ワシントンの保守系コラムニストであるロバート・ノバクにより、ジョゼフの妻はイラクの大量破壊兵器担当のCIAエージェントであると報じられました。

後にカール・ローブが

「これで彼女は最適な攻撃対象(Fair Game)になった」

と言った言葉がこの映画の題名になりました。

ローブの言葉通りマスコミ各社は、ブッシュ大統領の一般教書の発言より、アメリカ政府を批判したウィルソンの妻がCIA局員であることの方に関心を寄せてしまいます。

身分を明かされたヴァレリー・プレイムはCIAですべての作戦業務から外され監視の下に置かれました。さらに彼女の本当の姿を知ってしまった友人たちも、彼女から離れていきました。家にはたびたび脅迫電話がかかるようになり、CIAに保護を求めましたが、拒否されてしまいます。

こうした情報漏洩に対してジョゼフは即座に反撃しました。記者会見を開いて、妻がCIAの秘密工作員であることを明らかにしたのはアメリカ合衆国政府による報復であると述べて、テレビなどのメディアを通じて、妻がCIA局員であることを明かしたのは、国家機密を漏洩した重大な犯罪であると訴えて回ります。

政府を攻撃することに夢中になり、家を顧みない夫と意見が対立したヴァレリーは子供を連れて実家に戻っていきました。

実家に戻った彼女は、元空軍中佐の父から

「政府のやっていることは間違っている。彼は絶対諦めようとしない。戦い続けるだろう。」

との言葉で、家族を守ることは逃げることではなく、不正を正すことが大切だと気が付き、一緒に戦う決意をして家に戻りました。

この映画の終わりで、2007年3月16日に米下院政府改革委員会の公聴会で証言しているヴァレリー・ウィルソン本人の映像が出てきます。

プレイム事件の結果

2007年1月16日に開始された裁判では、起訴された副大統領の首席補佐官ルイス・リビーの他、チェイニー副大統領の積極的指示、ローヴ補佐官、最初に機密漏洩したとされるアーミテージ元国務副長官の関与も明らかにされましたが、全て不問となりました。

2007年3月6日、ワシントン連邦地裁の陪審はルイス・リビーに対し起訴された5つの罪状のうち連邦捜査局に対する偽証以外の4つについて有罪とする評決を出しました。

判事による量刑言い渡しは6月5日に行われて、リビー被告は禁固2年6ヶ月の実刑判決を受けることになりました。しかし、7月2日にブッシュ大統領は大統領権限で執行猶予にして、世論の反発を受けます。

この事件で裏から糸を引いていたとされるカール・ローブ次席補佐官、大統領策・戦略担当上級顧問は、2007年8月31日付ですべての役職を辞任して、ホワイトハウスから去りました。

 この映画を見た人はこちらの映画もぜひ見てください。 ↓

なぜブッシュ大統領はイラク攻撃にこだわったのか 映画 「ブッシュ」

イラク戦争の解説記事はこちら ↓

誰がなぜ戦争を起こすのか。「9.11」から「イスラム国」まで その3 なぜ、アメリカはアルカイダと関係のないイラクに戦争を仕掛けたのか

 

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