CIAは、サウジアラビア人のアルカイダ・メンバー二人がアメリカに入国したことを知っていましたが、その情報を機密扱いとし、テロ対策安全保障グループ議長のクラークや、FBIでビンラディンを追っているオニールにその情報を知らせませんでした
アイキャチ画像の人物はアメリカ合衆国国家安全保障会議議長のリチャード・クラーク(本人)です。
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亀仙人2倒壊する巨塔-アルカイダと「9.11」への道 Vol.4 (dvd4枚目)
エピソード6 ”戦場の少年”
冒頭からザワヒリの思い出話が始まり、彼の目的がアラブ社会から異教徒を排除することが分かります。1981年に、エジプトとのイスラエル間で結ばれた「エジプト・イスラエル平和条約」に調印したエジプトのサダト大統領を暗殺した「ジハード団」に加わっていたとして、3年間の刑を受けた後国から追放されました。
ドラマの中に出て来た、檻の中からイスラム教徒たちに戦いを呼びかけていた人物が、若き日のザワヒリです。
アメリカを敵視しているのは、アラブ社会に侵入してきたイスラエルを、アメリカが援助しているためです。
これはメッカとメディナのイスラム教2大聖地があるサウジ・アラビアに、異教徒であるアメリカ軍が駐留していることに反発して、サウジ王家を非難したため国から追放された、ビン・ラディンに通じるものです。
この二人は、パキスタンのペシャーワルでザワヒリが難民の治療に当たっている時に、知り合いました。
アメリカでの計画が進まないため。ザワヒリはモハメド・アタをアメリカに送り監督させました。ドラマでは先に潜入したミダルとハズミは、隠れ家でTVゲームに興じていました。
モハメド・アタ
9.11の主犯格であり、自らもアメリカン航空11便を操縦し、ワールドトレードセンター北タワーに突入して自爆しました。
出典ウィキペディア
また、先のキャンプでのミサイル攻撃で生き残った少年ワラは、ザワヒリによって、イエメンのアデンに送られました。
イエメンでワラを迎えたのは義足の男ハラドでした。ハラドはワラを街につれて行き、食べ物やアイスクリームを買ってやったり、見せ物の猿と遊ばせたりしました。そのあとアジトに連れて行き、二人の男と会わせます。
その晩ワラは、二人にアルカイダのキャンプで襲撃された時の話をしました。
「悪魔を見たよ。それは暗い空の西の方から、長い指で光りながらやって来て、余りにきれいだからじっと見ていたら、光は爆発して母さんや姉さん、友達を殺してしまった。
あの船は鉄だよね。鉄なのに水に浮かんでいる。きっと僕たちを殺しに着た悪魔の船だ。」
翌日3人は爆弾を仕掛けた小舟に乗って、エデン港に停泊していたアメリカの駆逐艦コールに向かって行きました。コールの乗組員たちは、子供を乗せた小舟に警戒せず、接近を許してしまいました。小舟はコールに衝突して大爆発を起こし、船腹に大きな穴をあけ水兵17名が死亡しました(米艦コール襲撃事件)。
駆逐艦コールの損傷部分。
実際には子供は乗っておらず、自爆攻撃は2名のテロリスト、イブラヒム・アル=サウアとアブドラ・アル=ミサワによって行われました。
出典ウィキペディア
FBIニューヨーク支局の新しい支局長に、ワシントン DCに居たサンチェスが就任しました。サンチェスはアフリカでアメリカ大使館が爆破された後、CIAのシュミットとともに捜査の主導権を握ろうとして、オニールと対立していた人です。
就任祝いにやって来たオニールにサンチェスが一番最初にしたことは、FBIの「定年直前相談会」参加のパンフレット渡すことでした。勤続25年目になるオニールは、この相談会に参加する義務があるため、フロリダに向かいました。
フロリダで早期退職者のために行われた年金や保険についての講習を受けている途中、恋人のシェリから電話があり、電話に出るため席を外して外に出ました。シェリからの電話の内容は、オニールと一緒に暮らすため、ニューヨークのオニールの家に引っ越すことに決めたということでした。正規の家族の他に、何人もの恋人がいるオニールが電話を終えて講習会の戻った時には、講習会はすでに終わっていて機密書類の入っていたかばんは、すでに無くなっていました。
オニールはサンチェスに呼ばれ、問題のかばんは3時間後にごみの焼却所で見つかり、現金と金で出来たシガーカッター(葉巻の端を切り落とす道具)が盗まれていましたが、機密書類は手を付けた後もなく無事でした。
しかしこのことでオニールはサンチェスに呼ばれ、さらに数か月前に関係者の住所などが入っていた電子手帳を失くしたことを、黙っていたことがバレて調査のために取り上げられてしまいました。
CIAに出向していたヴィンスは、シュミットの後を継いだダイアンに情報の共有を求めるメールを送り続けていましたが、ある日ダイアンに直接呼ばれ、情報を隠すには訳があり、ここで(CIAのアレックス支局)で知った内容を外部に漏らすと、窃盗と反逆罪で訴えると釘を刺されました。
この訳とは、以前サウジアラビア大使がCIA長官のテネットと会ったことに関係するようです。
TVゲームをしているミダルとハズミの所に、ザワヒリから送られたモハメド・アタがやって来ました。
エピソード7 ”将軍”
アメリカ海軍の駆逐艦コールが爆破テロで破壊され、調査のため派遣されたFBIの中に、ビンラディンを調査している “I-49″のオニールとスーファンがいました。
一同がイエメンの空港に着くと、大勢の兵士に取り囲まれてしまいました。スーファンは水の入った包みを取り出し、リーダーや他の兵士たちに配り、仲間であることを伝えます。そしてオニールは、将軍であると紹介しました。そのためこの後オニールは現地では将軍と呼ばれました。
オニールとスーファンの二人は、イエメンのカミシュ将軍に連れられて、事件を捜査しているアデン警察署の署長アミンの所に行きました。
途中の道端には『サウジ・ビンラディン・グループ」と書かれた看板が、あちこちに立っていました。イエメンはサウジアラビアの大財閥『ビンラディン・グループ』の創始者、ムハンマド・ビン・ラーディンの出身地です。
警察署に入る前、オニールは駐車場にボートトレーラーが置かれているのに気が付きました。これは内陸の湖や、海が凍った時にボートを載せて陸上を運ぶときに使うもので、海が凍らないイエメンではあまり必要のない物です。
ボートトレーラー
小型の船を載せて、自動車で運ぶためのトレーラー。
出典 ハイエースパーツネット
オニールはボートトレーラーの持ち主の調査や、捕らえられている容疑者の尋問の許可を求めましたが、なぜかアミン署長は協力を渋っていました。
その晩、カミシュ将軍の家に行き、軍でボートトレーラーの持ち主を調べて教えてもらい、早速その場所に行きました。そこは爆破テロを行った二人がいた家で、部屋には駆逐艦コールを映していたビデオカメラが、そのまま残されていました。
翌日、ボートと隠れ家の持ち主ジャマル・バダウィの尋問によって、隠れ家はアタッシュ(ワリド・ムハンマド・サレ・ロシャエド・ビン・アタッシュ)に貸したことが分かりました。さらに問い詰めたところ、詳しいことクゥソに聞け、と吐いたところでアミン署長に尋問を中止させられました。
二人はアミン署長に拘留中のクゥソに対する尋問の許可を求めましたが、断られてしまいました。アミン署長はアメリカと関わりを持ちたくないみたいです。
FBIのクラークは、在イエメンのボーディン大使に頼んでアミン署長に圧力をかけてもらい、クゥソの尋問に漕ぎつけました。
尋問が始まる前に、アミン署長とクゥソは、親しく挨拶を交わしていました。どうやらこの二人は以前からの知り合いだったようです。
クゥソにとって尋問役のスーファンは、イスラエルの諜報機関モサドの手先だと見られています。もっともアミン署長も、スーファンはFBIに雇われたイスラム人のスパイだと思っていますから、同じようなものです。
クゥソは、ビンラディンに会い信頼されて、駆逐艦コールの爆撃の瞬間を撮影したと、白状しました。しかし、撮影したとされるビデオカメラには、その現場は写っていませんでした。訳を聞くと寝坊して取り忘れたとのことです。そしてビデオに写っていた男たちは、アルカイダであること認めました。
さらにビンラディンに頼まれて、3万6千ドルの現金をマレーシアに運ぶつもりだったことも白状します。この言葉でFBIのオニールとスーファンは、一瞬緊張しました。マレーシアで何があったか聞いたところ、首都クアラルンプールでアルカイダの重要人物が全員集まって会議を開いた、とのことです。
そして、3万6千ドルの現金は、バンコクでアタッシュに渡されました。アタッシュはその金で新しい義足を買うためだ、と言ったそうです。
アタッシュはハリドのことかと聞くと、クゥソは一瞬アミン署長を見て、「そうだ」と答えました。
ここで今まで謎とされていた義足の男ハリドの本名が『ワリド・ムハンマド・サレ・ロシャエド・ビン・アタッシュ』であり、イエメンでは『アタッシュ』と呼ばれていたことが、判明しました。
ここからは怪しい話が、続きます。
⓵その後の夜明け前、まだ暗い中、アザーン(イスラム教で礼拝の時間が来たことを知らせる、呼びかけの声)で目を覚ましたスーファンがモスクに出かけたころ、サウジアラビアとの国境では、イエメンから来た車と、サウジアラビアから来た車が、落ち合っていました。
イエメン側の車からは『しばらく身を隠せ』と言われて一人の男が、サウジアラビアから来た車に乗り移りました。反対にサウジアラビアの車からは、義足の男が乗り移ってきました。
10秒ほどの短いショットですが、妙に気になります。サウジアラビアには、アルカイダを支援している何らかの組織があるようです。
⓶FBIのオニールは、得られた情報をCIAに送り、大金を持ったハリドがマレーシアでどんな活動をしていたかを、問い合わせました。
この時点でCIAは、ハリドがアメリカの入国ビザを獲得しているハズミとミダルに会っている時の写真を撮っていました。そのためこの金は、ハズミとミダルがアメリカ国内に潜入した後の活動資金として、使われる可能性があります。
アレックス支局の長をしていたダイアンは、もと上司のシュミットと相談して、この情報を隠すことにしました。さらに事務所に張っていたテロ対策ボードから、ハリド、ハズミ、ミダル3名の写真を外し、金庫にしまいました。
2004年に行われた、9.11テロ対策調査委員会でスーファンが証言した通り、FBIがこの情報を得ていたら、アメリカに潜入したハズミとミダルの行動を追跡でき、9.11の悲劇を避けられた可能性があります。
⓷イエメンのボーディン大使は、オニールから捜査の進捗情報を聞き、ハリドの名前を聞いて一瞬驚いた表情を見せましたが、その場は取り繕ってしまいました。
その後、FBI本部に電話して、オニールを捜査から外し、帰国させるよう頼みました。
これも短いショットですが、何か怪しいです。
警察の調査では埒が明かないと感じたオニールは、カミシュ将軍に会い、ハリドを調査してくれるように頼みました。お礼に自分が使っている聖書を、差し出しました。聖書を読むことはイエメンで禁止され、手に入りにくいものでした。かねてから聖書を手に入れたいと思っていたカミシュ将軍はお礼に父親が使っていた数珠を渡し、調査することを請け負いました。
オニールが本国からの命令で帰国する直前、カミシュ将軍がハリドの調査報告ファイルを持ってきました。そのファイルには、ハリドの顔写真が入っていました。オニールはそのファイルをスーファンに渡し、軍の輸送機に乗り込みました。
この後の展開が気になります。
各DVDの内容と解説のリンク下に張っておきます。
DVD1枚目 『倒壊する巨塔-アルカイダと「9.11」への道』Vol.1
エピソード1”始まり”
製作スタッフによる、エピソード1の解説
DVD2枚目 『倒壊する巨塔-アルカイダと「9.11」への道』Vol.2
エピソード2”我が宗教の喪失”
エピソード3”犯された過ち”
DVD3枚目 『倒壊する巨塔-アルカイダと「9.11」への道』Vol.3
エピソード4”水銀”
エピソード5”2000年問題”
DVD4枚目 『倒壊する巨塔-アルカイダと「9.11」への道』Vol.4
エピソード6”戦場の少年”
エピソード7 “将軍”
DVD5枚目 『倒壊する巨塔-アルカイダと「9.11」への道』Vol.⒌
エピソード8 “特別な関係”
エピソード9 “火曜日”
DVD6枚目 『倒壊する巨塔-アルカイダと「9.11」への道』Vol.6
エピソード10 “9.11”
スタッフによる最終回の解説